暁 〜小説投稿サイト〜
ちょっと違うZEROの使い魔の世界で貴族?生活します
本編
第46話 王都の休日? 休んでないのに休日?
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分かってほしいわ」

 愚痴を言いながらトランクを閉じロックをかける。窓を確認すると、まだレンは来ていない様なので身だしなみの最終確認をする。風竜(レン)に乗ってしまえば、風圧でセットが乱れてしまうので意味が無いのだが、ギルに会いに行くとなると気になってしょうがない。

 しばらく鏡の前で悪戦苦闘していると、窓が風でガタガタと言いだした。窓を見ると風竜が私の部屋を覗き込んでいた。

「レン。今行くわ」

 トランクを持ち腰からミスリル製の扇を引き抜く。(この扇はギルからプレゼントしてもらった物で、即刻杖に追加工して契約した。魔法金属(ミスリル)製なので、杖としての性能は非常に高い)窓を開けフライ《飛行》を発動すると、外に出てレンの背中に乗る。そしてロック《施錠》で窓を施錠すれば準備完了だ。

「レン。出発よ」

「応」

 レンの威勢の良い返事と共に、私達は学院を飛び立った。



 王都の入口前に降り、正面の門から王都へ入る手続きをする。レンとはいったん別れ、小動物(小鳥や猫)に化けてもらい後で合流する事になる。

 学院に入学してから良くお父様に会いに行っているので、衛兵達も私がヴァリエール家の人間である事を知っている。

「ミス・ヴァリエール。風竜を使うなど何かあったのですか?」

 いつもは乗馬の訓練も兼ねて馬を足にしている私が、風竜で来た事に何かあったかと不安に思ったのだろう。加えて今は普段私が通過する時間帯と違う。(いつもは別邸に宿泊する為、虚無の曜日の前日か暗くなる前に学院へ戻れる時間帯に通過する)

 急ぎたいが、心配してくれているなら無碍にする事も無いだろう。

「婚約者が王都へ来ているので、今から会いに行く所ですわ。風竜を使ったのは、王都の閉門に間に合わなくなってしまいますから」

 私は沈みかけた夕陽を見ながら答えた。

「こ 婚約者……。そうですか」

 何やらショックを受けている様だ。他にも似たような反応をしている衛兵が何人かいる。私も自分の容姿は自覚している心算だし、元々平民を蔑視するような性格ではないので、人当たりも良い方だと思う。だから一部の人達に人気があるのは自覚はしていた。

 心境としては“応援していたアイドルに恋人が居た事が発覚した”と、言ったところだろう。ギル以外に告白されても煩わしいだけだし丁度良いか。学院内では既に有名な話(群がる男が煩わしくて即刻ばらした)だから今更隠す必要もない。

「ええ。私が学院生の身であるせいで、お会いできる機会が減ってしまって……。久しぶりにお会い出来るので楽しみですわ」

 これは紛れもない私の本心だ。ギルの精神状態は心配だが、久しぶりに会えると思うと少し嬉しくなる。

「お お気をつけて……」

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