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万華鏡
第七十三話 雪その二

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「雪降らないって」
「それ位よね」
「他は大抵な」
 高知や九州の他の地域でも、というのだ。
「冬で寒いと降るよな」
「三月でも降るわよ」
 ここでこう言ったのは琴乃だった。
「神戸でもね」
「というか神戸寒いしさ」
 美優はこう琴乃に返した。
「たまに三月でもな」
「そう、降るから」
「三月っていってもまだ寒かったりするからな」
「美優ちゃんもそのことはもう」
「わかってるよ、っていうかな」
 ここでこう言った美優だった。
「あたしも神戸に住んで長いからさ」
「知ってるのね」
「完全に慣れてるかっていうとな」
 それはというと。
「まだ慣れてないけれどさ」
「神戸住んでもう」
「ああ、長いよ」
 だがそれでもだというのだ。
「慣れるものと慣れないものがあるな」
「そうよね」
「ああ、冬の寒さはな」
 神戸のそれはだ、美優にとってはというのだ。
「やっぱり辛いよ」
「だからいつもなのね」
「ああ、厚着でさ」
 他の四人よりもそうなっている、確かに。
「寒さに耐えてるよ」
「だから余計になのね」
「春が恋しいよ」
 声にその感情がはっきりと出ていた。
「どうしてもさ」
「じゃあ今も」
「あと二月か」
 しみじみとして言った美優だった。
「我慢するしかないか」
「お水取りまではね」
「どっかのネコ型ロボットに頼んでさ」
 冗談である、しかし結構本気で願っての言葉だった。
「一気に時間進めて欲しいな」
「あの青いね」
「青い狸みたいなロボットね」
「あのネコ型ロボットなら何でも持ってるし」
「だからなのね」
「ああ、実際に時間進める道具だって持ってるしさ」
 とにかく道具なら何でも持っている、その腹のところにあるポケットからはそれこそありとあらゆるものが出て来る。
「いて欲しいよな」
「あのロボットいいわよね」
「役に立つわよね」
「もういてくれたら百人力」
「有り難いわよね」
「だからいて欲しいんだけれどな」
 美優にしても、というのだ。
「時間進めること以外にも」
「お空も飛べるし」
「瞬間移動も出来るから」
 不思議な羽根や扉でだ。
「いいわよね」
「そうそう、それで」
「是非ね」
「いいよな、本当に」
 美優はしみじみとして語った、そうしてだった。
 校舎も見てだ、今度はこう言ったのだった。
「学校だって一瞬だぜ、来るの」
「ドアを使ってね」
「それでよね」
 四人もこう応える。
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