トワノクウ
第二十三夜 長閑(四)
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
びかけられたくうは、慌てて立ち上がり、平八や芹、学童たちにいとまを告げた。
「すみません、平八さん、芹ちゃん、これで失礼しますっ」
草を払うのを手伝ってくれる芹を、一度屈んでぎゅっとしてお礼。それから学童たちに手を振った。
「また来いよー」
「はい!」
露草のもとまで小走りに急ぐ。
「お待たせしました!」
「よし、行くぞ」
露草はくうの手首を掴むと、ぐいぐいと引っ張って歩き出した。速足の露草には、くうは付いて歩くだけで一苦労だ。
階段を半ばまで下りた頃合いに、くうは思い切って尋ねた。
「露草さん、何だかお急ぎですね。ひょっとして急用でも思い出されました? それとも、長いこと暑い中で待たせてしまいましたから、具合が悪くなられたんじゃ」
「どっちでもねえ。さっさと帰りたい気分になっただけだ。お前が気に病むことは何もねえよ」
「は、はい……」
自分のせいかもしれないことを強く言われては、行きの時のように強く返せないくうである。
石段を降りて終えると、露草はくうの手を離して地面に両手を突いた。
化物道が開く。
また露草に手を引っ張られて境界線を超えると、そこはすでに天座の森だった。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ