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トワノクウ
トワノクウ
第二十三夜 長閑(四)
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びかけられたくうは、慌てて立ち上がり、平八や芹、学童たちにいとまを告げた。

「すみません、平八さん、芹ちゃん、これで失礼しますっ」

 草を払うのを手伝ってくれる芹を、一度屈んでぎゅっとしてお礼。それから学童たちに手を振った。

「また来いよー」
「はい!」

 露草のもとまで小走りに急ぐ。

「お待たせしました!」
「よし、行くぞ」

 露草はくうの手首を掴むと、ぐいぐいと引っ張って歩き出した。速足の露草には、くうは付いて歩くだけで一苦労だ。

 階段を半ばまで下りた頃合いに、くうは思い切って尋ねた。

「露草さん、何だかお急ぎですね。ひょっとして急用でも思い出されました? それとも、長いこと暑い中で待たせてしまいましたから、具合が悪くなられたんじゃ」
「どっちでもねえ。さっさと帰りたい気分になっただけだ。お前が気に病むことは何もねえよ」
「は、はい……」

 自分のせいかもしれないことを強く言われては、行きの時のように強く返せないくうである。


 石段を降りて終えると、露草はくうの手を離して地面に両手を突いた。
 化物道が開く。
 また露草に手を引っ張られて境界線を超えると、そこはすでに天座の森だった。
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