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打球は快音響かせて
高校2年
第四十五話 夢が終わり、夢が始まる
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るわ!」

渡辺の大言壮語に、鷹合が乗っかった。
2人とも、顔がマジだった。
大マジだった。

「……決勝戦にコールドはないけどな」
「……お、俺も!夏は全部で投げ抜いちゃるけんな!」

宮園が呆れ、美濃部は鷹合に負けじとアドバルーンを上げた。
越戸、枡田、そして翼は、言葉こそ出なかったが、しかしその顔は確実に前を向いていた。

「よっしゃァー!浅海先生を夏こそは男にするぞォ!」
「……は?」
「いやいや、浅海先生女だし」
「あ!……じゃあ、女にする」
「女にするって言ったら、何かイヤらしくないか、それ?」

渡辺が意気込んだが良いが決まらず、一同に笑いが起こる。敗戦から少し、立ち直った瞬間だった。



ーーーーーーーーーーーーーーーー


「…………」

ロビーでのやり取りは、自室のデスクに突っ伏した浅海にも聞こえていた。そういう話は、聞こえない所でするもんだぞ……生徒達を微笑ましく思いながら、また浅海は自分を責める。

(渡辺、傷つけちゃったなぁ……渡辺の打ちたい気持ちは、そりゃ分かってたけど……そこであえてサイン出したなら、必ず成功するタイミングじゃなきゃいけなかったわね……)

右の拳を握り、トン、トンとデスクを叩く。
悪い事をした。そういう自責もさる事ながら、甲子園を目前で逃した。その事実も、大きな喪失感としてのしかかってくる。

(……悔しい……)

また、鳩尾がキリキリと痛んだ。











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