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打球は快音響かせて
高校2年
第四十五話 夢が終わり、夢が始まる
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なエンドランのサイン出したり…….スクイズ失敗したり……君らの勢いに、水ばかり差して……!余計な事ばかりして……!!」

浅海は両手で自分の顔を覆った。
華奢な体が、ぶるっと震える。
いつも毅然とした浅海が初めて見せる、弱さだった。

「…………本当にごめん……最低だな……本当に泣きたいのは、君らなのにな…………!私……最低……!!」

浅海につられるように、何人もの部員が嗚咽を漏らした。負けた。負けたとは、こういう事なのだ。

球場外には、三龍野球部の嗚咽と啜り泣きが、長いこと響いていた。



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from:葵
to翼
題:残念
内野席から応援してました。
8回に守備に出てきた時はめっちゃヒヤヒヤしたけど、ちゃんとこなしてて凄かったよ!
できたら打席も見たかったけど……
あんな大事な場面で守備固めなんて、信頼されよるんやなぁって、武も言ってました。どうせあいつは直接メールなんて送らんけ、代わりに伝えておきます^_−☆
今日は負けちゃったけど、ほんのちょっとの差やと思うけん、今度は夏目指して頑張って。
南学のバカどもが甲子園行くゆうんは癪やけど……今回はあいつらに譲ったって事で。



応援団用のバスに乗り込んだ葵は、翼へのメールを打っていた。実際試合中は南学の応援などしていなかったが、現金なモノである。

「あ!南学野球部や!」

車内から声が聞こえて、葵が窓の外を覗くと、南学ナインが並んで、島からの応援団のバスに手を振っていた。皆笑顔。とびきりの笑顔である。
こういう所、好かれる努力とでも言おうか、実にキッチリしているのが南学野球部だった。

(……知花)

葵は窓越しに、知花と目が合った。
知花も葵の視線に気づく。

「……」フイッ

しかし知花はすぐに目を逸らして、別のバスに手を振った。

(彼氏の夢を潰しておいて、勝ったぞーとも言えんけんなぁ)

知花は、葵と、今日勝った相手の18番の選手に気を遣った。しかし、その表情は、めちゃくちゃ嬉しそうであった。



ーーーーーーーーーーーーーーーー


「……先生、何だって?」
「……明日と明後日はオフだって。あと、明日の全校朝礼で応援のお礼を言うんだって。」

寮のロビーで、野球部の寮生が浅海の部屋から出てくる渡辺を待っていた。皆、痛恨の面持ちだが、試合から時間が経った為か、少し落ち着いていた。泣きじゃくっていた渡辺も、もう泣き疲れたのか、冷静になっていた。

翼は一人だけ泣きもせず、呆然としていた。
あと一つ。甲子園まであと一つ勝てば……という状況にも現実感が無かったが、その大チャンス、一生に一度かもしれない大チャンスを逃したというのも、にわ
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