水の巫女の再来・前編
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えサラ姫様、貴女は城でお待ち下さい。必ず、戻って参りますから」
「(───そう、また………私を置いて行くのね。いいわ、慣れてるもの────)」
イングズに制され、サラ姫はどこか寂しそうに4人の後ろ姿を見送る。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「エリア………?!」
風のクリスタルの祭壇は、変わらずそこにあった。しかし、以前には存在しないものが────
次元の裂け目のような、黒く渦巻く空間がぽっかりと開いている。それを前に佇む、長く美しい金色の髪の少女────
「エリア……っ!!」
彼女は呼び掛けにも振り向かず、空間に踏み入る。
その儚げな姿は、瞬く間に黒い渦に呑まれてゆく────
「………! また、失うわけにはいかないんだ。今度こそ………今度こそ、守ってやる!!」
「待つんだルーネス! これは────」
イングズの呼び掛けも聞かず、ルーネスは彼女の後を追って黒く渦巻く空間へ飛び込む。
「……迷っていられないわよ、イングズ」
「そうだね、僕らも行くしかないよ」
「あぁ……、判っている。行こうッ!」
レフィア、アルクゥ、イングズも続いてゆく。
───その場の全員が次元の裂け目のような空間に踏み入った途端、それは何事もなかったように消え失せ、あとに残るのは、静かな輝きを湛えた風のクリスタルのみ─────
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「おや………お客さん、かな」
───そこは、周りを深い森に囲まれていながら木漏れ日の美しい、湖畔のある開けた場所─────
「あ、あんたは……?!」
「君達が来た事で………魂の広場の住人も変わったようだ」
蒼白い人魂のようなものが木陰の所々に点在している只中に、赤魔道師らしき赤マント姿をした長い白銀の長髪で、羽根つき帽子の下からは紅い瞳を優しげに細めた一見女性のようで中性的な声の存在が、来訪者を迎える。
「 ────どうしたのかな。ここは、君達が来るような場所ではないよ」
「あ、あなたって………??」
先程の銀髪の少年ではなく、オレンジ髪の少女が問う。
「困ったな………ダレかに呼ばれるような名前は、持ってないのだけど。────そうだね、マゥスン………とでも云っておこうかな」
その存在は、あくまで優しげに微笑み返す。
「あ、赤魔道師さん………ですよね?」
今度は茶色い髪の少年が問う。
「うん……? 師、じゃなくて、士の方かな。まぁ、どちらでもいいけどね。そう見えるならそうかもしれないし、そうじゃないかもしれない」
「では………マゥスン殿、ここはどういった場所な
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