水の巫女の再来・前編
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ネスの片手を取って引き寄せる。
「放せよ! どうせおれは……っ」
「本当に彼女かどうかも判らない存在に否定されたくらいで、自分を見失うなッ」
「エリア……だよ! エリアに決まってる!! 彼女は生き還ったんだ、生きたかったんだ、この世界を………!!
おれの、事はどうでもいい。彼女が生きてくれるなら、それで……!」
「そんな事を云うなルーネス、もういい………もういいから」
───駄々をこねる子供をあやすように、イングズはルーネスを両腕の中に抱き込む。
「よくない! よく、ない……っ。エリア、じゃないなら、何なんだよぉ……!!」
イングズの胸に頭をうずめるように、強く抱き返すルーネス。
「お前が混乱するのも判る………彼女は、確かに"呪いの矢"によって死んでまったはずだ。だが、何故今になって──── 」
「おれ達だって、一度暗闇の雲にやられたよな……。けどあの時、ドーガとウネが魂を分け与えてくれて────そうだ! 誰かが、エリアにそうしてくれたんだよ!? だから、エリアは…っ」
気を取り直して顔を上げるルーネスだが、間近で見下ろすイングズの表情は雲っている。
「それにしても、半年という時間が経ち過ぎている。ドーガとウネは、ある種の特別な存在であって────そういった者でなければ、魂の力を分け与える事など………出来たとしても、いったい何者が彼女に────?」
パリイィンッ
突如窓ガラスの割れるような音がしたと思うと、それなりの高さのある上階から"彼女"が、二人のいる所までふわりと素足で降り立つ。
「エ……リア? どうしたんだ……!?」
つとイングズから離れて呼び掛けるルーネス。
「よんでるの────わたしを。風の────クリスタルが」
無感情に小さく云い終えた彼女は、何のためらいもなく閉じられた城門を重力など感じないかのように、蒼く淡い光に包まれながらふわりと飛び越えてゆく。
「どういう、事だ……? 彼女は、何を────」
ルーネスとイングズが呆然としている所へ、レフィア、アルクゥ、サラ姫が駆けて来る。
「彼女ったら、いきなりベッドから起き上がって窓から飛び降りて…!ど、どこ行ったの?!」
「風の───クリスタルが呼んでるって、エリアが………」
「ルーネス、君まで放心してどうするのさ! とにかく城門を開けてもらって、祭壇の洞窟に行ってみよう! 風のクリスタルがあるのは、そこだから────」
アルクゥの呼び掛けで、ルーネスはハッとする。
「そ、そうだよな……! 彼女を、エリアを追っかけないと!」
「私も、行かせて……!」
「いい
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