水の巫女の再来・前編
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だ何も話せる状態じゃないみたいだわ」
レフィアの言葉に、ベッドの方に目を向けると────生前、"彼女"が着ていたような純白のロングワンピースを着せられており、上半身だけは起こしたまま、下向き加減で虚ろな表情をしている。
「 エリア………」
ルーネスは呟くように名を口にし、彼女へと近寄る。
「エリア……、エリア? おれだよ、ルーネスだ……。おれの事、分かるか? 覚えてる……か?」
────間近な呼び掛けにも、彼女はこちらを向いてくれない。
もどかしくなったルーネスは、彼女の儚げな両肩に手を置いてこちらを向かせる。
「エリア……! エリアなんだよ、な? おれ、うれしいよ。またこうして、会えて………でも、君は、あの時────」
「 …………ちがう、の 」
「 ──── え? 」
「あなたじゃ、ない」
抑揚のない、微かな声で、それと共に海のように蒼い瞳は澄んでおらず、深い海底のように冷たく、ルーネスを映してはいない。
「そん、な……エリア、おれは………!!」
「 ────そこまでにしておけ、ルーネス」
それまで黙っていたイングズがふと傍におり、片手を肩に置いてルーネスを制す。
「 …………っ!! 」
つとその手を振り払ったルーネスは、足早に部屋を後にする。
「 ────── 」
「……追いかけなくていいの? あの子……、哀しそうだったわ」
サラ姫に促されたイングズは、黙ったまま一礼してルーネスの後を追う。
「 ───エリアというこの子に庇われて、ルーネスは死なせてしまったと責任を感じているのよね」
「はい……。でも彼女は僕達と出逢った時にはもう、長くはなかったんだと思います。そんなの………ルーネスの慰めにもなりませんけど」
────サラ姫にそう話すアルクゥ。
「何ていうか………半年振りの再会はずが、こんな事になるなんてね」
「でもこれって………偶然じゃないのかも」
レフィアとアルクゥは虚ろな"彼女"を複雑な気持ちで見詰めつつ、夜は更けてゆく─────
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「 ───待てルーネス、こんな時間にどこへ行くつもりだ……!」
蒼い月夜の晩、独り城外へ出て行こうとするのを呼び止めようとするイングズ。
「うっさいな! どこに行こうが、おれの勝手だろ?!」
「サスーンの見習い兵士としての自覚を持て! 夜警の時間だというのに……」
「関係ないね! そんなもん、今すぐやめてやる!!」
「お前はそうやってすぐ自暴自棄になるのが悪い癖だ。……ほら、落ち着けッ」
イングズはルー
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