第七十一話
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かの神、という可能性は?」
「ないよ。それは自信を持って言えるし、掴み取った紋章は葉っぱと煙・・・狸っぽかったし」
なんとなく、という理由なだけにあまり自信があると胸を張って言える物じゃないんだけど。
「まあ、それなら芝右門狸だったと考えていいだろう。それに、何でそうなったのかはなんとなく予想がつく」
リズ姉はそう言いながら、その理由を話し始める。
「全ての神には、存在する理由がある。あらゆる神話の神もそうだし、民間伝承で語り継がれる神もそうだ」
「確かに、神話の存在する理由から考えてもそうなんだろうな」
「そう。お前が倒した神の中で一番分かりやすいのは真神だな。他にも、日本なら偉人を奉った物は大体がそうだし、ないの神もかなり分かりやすいな」
真神は、狼が畑の害獣を食い殺すことから、人間がその力を借りたくて作り出された神だ。
そして、偉人を奉った物は大抵が祟りだと人間が恐れたことから。
「そして、ないの神は599年にあった地震から、日本神話に組み込まれるようになった神だ」
「なるほど。・・・なら、芝右門狸はなんなんだ?」
芝右門狸は神話にも登場しない神。それも、元々は妖怪だったんだ。
それが神になるには、それにたるだけの理由があるはずなんだ。
「とはいえ、芝右門狸が神になれたのは偉人達となんら変わりないんだがな。祟りだと恐れられ、鎮めるために奉られるようになった」
「なら、オランダ人とのつながりは?」
「そこは、妖怪芝右門狸の成立が大きく関わってくる」
妖怪としての成立、か。
例えば、仮説の一つとして送り狼が真神から出来た妖怪である、というものもあげることも出来る。
だがしかし、芝右門狸は神から妖怪に堕ちたのではなく、妖怪から神へと昇格した神だ。
それがどんな経緯で妖怪として誕生したのか、そこには興味がある。
「色々な説があるんだが、その中に一つ、オランダ人が関わるものがある」
「それは?」
「・・・芝右門狸という妖怪が語られるようになったころ、まだ日本では外国人というものは珍しかった」
まあ、外国との貿易が始まってもいないと、珍しいものにもなるよな。
「そんな中、あるお偉いさんが流れ着いたオランダ人を城内に隠していたものがいてな。そのオランダ人を見てしまった城下のものたちを納得させるため、狸が人間に化けた。それ故、我々とは違う容姿なのだ、って感じの噂を信じさせたんだよ」
「そして、その噂がどんどん広がっていき、日本三大狸になって、神様にまでなっちゃったのかよ。凄いな、芝右門狸」
予想していたのとはまた違ったベクトルの理由だった。
「だからこそ、あのあたりの時代に広がった狸の妖怪は、ほとんどがオランダ人が元なんだよ」
「勉
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