第百六十二話 ならず聖その二
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「高野山の者達が」
「すぐ傍まで左様か」
信長はその言葉と共に目を覚ました、そしてだった。
すぐに起きる。寝ている服はすぐに具足を着られる戦の服だった。彼は起きると傍に置いてあった己の具足を着てだった。
毛利と服部にだ、こう告げた。
「ではよいな」
「はい、我等も」
「既にです」
備えているというのだった、見れば二人共既に具足を身に固めている、
「戦えます」
「殿をお護りします」
「頼むぞ、ではな」
「はい、それでは」
「敵が何時来ても」
憂いはない、それが彼等の言葉だった。
そうしてだ、外が騒がしくなった。信長はそれを受けて騒ぎの方に向かう。当然その後ろには毛利と服部が続く。
騒ぎの方に行くと小競り合いが起こっていた、僧兵達が中心となり織田の者達と闇夜の中であれこれと戦っているのが松明に照らされている。
その彼等を見てだ、信長は言った。
「よいか、攻めるな」
「攻めないのですか」
「ここはですか」
「そうじゃ、攻めるな」
その心配はないというのだ。
「よいな」
「はい、それでは」
「今は」
「こちらは守っているだけでよい」
今の戦はというのだ。
「敵は攻めねばならん、そしてじゃ」
「殿をですか」
「殿を討たねばなりませんか」
「だからじゃ、ここはしっかりと守るのじゃ」
それでいいというのである、信長は自ら刀を抜いて手にしているがその彼等を見ても平然として言うのだった。
「わかっておるな」
「では殿の周りはです」
「我等が」
ここでも言う毛利と服部だった。
「何があってもお護りしますので」
「ご安心下さい」
「御主達がおればわしの身は心配ないわ」
信長もその彼等を見て言う、満面の笑顔で。
「では任せたぞ」
「はい、では」
「このままですな」
「わしはここにいる、周りは任せたぞ」
「それに我等もです」
「おりますので」
池田と森も来た、二人もまた信長の身を護ることが役目だからだ。
「ご安心下さい」
「例え竜が来ようとも」
信長を守ってみせるというのだ、この二人も来てだった。
信長は万全のまま守っていた、そして。
彼は彼等を信じその場に留まり采配を執った、すると。
必死に攻める僧兵や聖達は信長の攻めず守りを固めた采配に攻めきれず遂にだった、その数を大きく減らし。
そしてだ、その数が減ったところで闇が動いた。それは。
「来たな」
「はい、門徒ですな」
「あの連中ですな」
「相変わらずじゃな」
こう言った信長だった、毛利と服部に。
「夜にも来るな」
「ですな、ここで」
「そうしてきますな」
「来るとは思っておった」
読んでいたというのだ、これも。
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