第百六十二話 ならず聖その一
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第百六十二話 ならず聖
高野山への囲みを解いた信長は平手達と合流しそのうえで門徒達と戦うことにした、その進軍中にだった。
ふとだ、黒田がこう信長に言ってきた。
「殿、高野山のことは話が済みましたが」
「それでもじゃな」
「そうです、延暦寺でもそうでした」
「あの者達が襲い掛かって来るか」
「高野山のならず者達が」
来るとだ、こう信長に言うのだった。
「来るかと」
「そうじゃな、しかしその数は少ない」
「はい、それは」
「千人はおらん」
寺の断に従わぬ僧侶や僧兵、そして聖達はというのだ。高野山の中でも僅かな者達しかいないというのだ。
だからだ、数が少ない故にだった。
「普通に攻めては来ぬな」
「少なくとも昼には」
「しかも高野山から離れたにしてもじゃ」
ここで信長は周りを見た、見渡す限りの山だ。紀伊の山の中を進んでいるのだ。
「これではな」
「はい、夜襲には持って来いです」
「夜か、では気をつけるか」
「それがよいかと」
黒田がこう言った時にだった、信長の左に四つの影が降り立って来た。そのうえでこう信長に述べてきた。
「前田玄以殿からの伝です」
「ほう、高野山のことじゃな」
「はい」
拳が述べる。
「その通りです」
「高野山で法主達の断に従わぬ者達がこちらに来ておるのじゃな」
「既にお察しでしたか」
「官兵衛からその予想を聞いた」
ここで黒田を見て言う。
「それでじゃ」
「左様でしたか」
「うむ、やはり来るか」
「そして来る時ですが」
「夜じゃな」
ここでこう言った信長だった。
「夜に来るな」
「おそらくは」
「そうか、しかし来るのはその者だけか」
「というとよ」
ここで煉獄が声をあげた、信長の今の言葉に。
「あの連中かよ」
「そうじゃ、門徒共もな」
「それも普通の門徒共じゃねえな」
「うむ、闇の服の者達もな」
来るかも知れないというのだ。
「来るやもな」
「そうだよね、あの連中普通に来るからね」
そうした時にだ、あの者達は来ると鞠も言った。
「だからね」
「左様じゃ、ではな」
「夜ですね」
煙も言う。
「夜に備えて」
「うむ、では今宵にでも来る」
それでだと言うのだった、信長は周囲に夜襲に気をつけさせた。彼は既にある程度読んでいてしかもであった。
飛騨者達から玄以の言葉を受けて余計にだった、備えをしているのだった。
信長はその夜早いうちに寝た、他の諸将もだ。だが。
彼は己の腕を枕にして横になって寝た、仰向けではなくだ。
そうして待っていた、やがて。
毛利と服部がだ、彼の傍に立っていたが周囲の気配を察してすぐに言った。
「殿、どうやら」
「来た様です」
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