第八話 土の忍者その十二
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「そうなのよ」
「愛されていないマスコットっていうのも珍しいわね」
「奈良県ゆるキャラも愛されてないわよ」
こちらもである、これは本当のことだから凄い。
「あれもね」
「ああ、あれね」
菊もわかった、その愛されていないゆるキャラとは何なのか。あまりもの不気味さでかえって話題になっているキャラクターだ。
「確かに可愛くないわね」
「しかも家族までいるからね」
「あれで家族もいるの」
「そうなの、調子に乗ってね」
登場させたというのだ。
「正直迷惑よ」
「奈良県民も大変ね」
「しかも南部は過疎が深刻だから」
「裕香ちゃんの実家のところもよね」
「そう、物凄いからね」
北と南で人口密度が全く違うのが奈良県だ、尚免責自体は南部の方が広かったりする。しかし人口は圧倒的に少ないのだ。
「戻るだけでも一苦労だから」
「それで裕香ちゃん実家には」
「戻るつもりないわ」
今度は薊に答えた裕香だった。
「だって帰るのに異常な位時間がかかるから」
「だからか」
「多分薊ちゃんがここから横須賀に帰るよりも時間がかかるわ」
「それは凄いな」
「そうした場所だから」
「実家には帰らないんだな」
「夏休みや冬休みも寮にいるわ」
そしてそこで暮らすというのだ。
「結構寂しいけれどね、夏休みの寮とか」
「それでも実家に帰るよりはか」
「物凄く不便だから」
実家には帰りたくはないというのだ。
「そういうことでね」
「何かと大変だな、奈良県も」
「そうなのよ、北はいいんだけれど」
こう浮かない感じの顔で話すのだった、そうした話をしながら四人で街を歩いているとだった。ここでだった。
不意にだ、後ろからだった。
三人共気配を感じた、それでだった。
薊は瞬時に目を鋭くさせた、そのうえで菖蒲と菊に問うた。
「感じたよな」
「ええ、はっきりとね」
「感じたわ」
菖蒲と菊も答えた、薊と同じ目で。
「後ろね」
「いるわね」
「さて、どうしようかね」
薊は鋭さに思慮をその目に入れてまた言った。
「ここは」
「裏道があるわ」
菖蒲は自分達の右手を見た、そこを見ての言葉だ。街の中にある人気のない道だ。
「あそこに入りましょう」
「あそこなら人も見ないしな」
「街と街の間には絶対に人が見ない場所があるわ」
それが裏道だというのだ。
「だから入りましょう」
「よし、それじゃあな」
「あそこに入りましょう」
薊と菊は菖蒲の提案に頷いた、そして。
薊は裕香に顔を向けてだ、彼女にも問うた。
「裕香ちゃんはどうする?」
「私?」
「ああ、あたし達はこれから怪人とやり合うけれどな」
戦えない裕香はどうするかというのだ。
「一体な」
「ううん、私がいても足手まとい
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