第八話 土の忍者その十一
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「気に入ってくれているかしら」
「ああ、いい街だよな」
街を見回しながらだ、薊は菖蒲の問いに答えた。
「最初は横須賀と同じだろうって思ってたけれどな」
「同じ港町だからね」
「外国の人も多いって聞いてたしさ」
そのこともあってだ、薊は横須賀と神戸は似ていると思っていたのだ。だが実際に神戸の街を見てみるとだった。
「また違うな、それも全然な」
「ええ、そうだと思うわ」
「菖蒲ちゃんは横須賀は行ったことないよな」
「残念だけれどね」
菖蒲は薊の問いに素直に答えた。
「ないわ」
「いい街だよ」
「海軍の街よね」
「そうそう、横須賀は自衛隊の港があってさ」
薊もここでこのことを話す。
「防衛大学もあって。アメちゃんのベースもあって」
「軍港ね」
「そうなんだよ、ついでに言うとヒデさんの出身地だよ」
あの伝説的バンドエックス=ジャパンのギタリストだ。そのあまりにも若い死は今も音楽を愛する者達に惜しまれている。
「小泉さんとかさ」
「総理大臣と息子さん達の」
「あの人の地元なんだよ、横須賀」
「面白そうね」
「面白いぜ、実際」
そうだとだ、薊は笑顔で菖蒲に話した。
「何なら一回来いよ、案内させてもらうぜ」
「そうね。機会があればね」
「来てくれよ」
「わかったわ」
「横須賀ねえ。私も行ったことないわ」
「私も」
菊に裕香もだった、横須賀にはまだ行ったことがなかった。それで二人で話すのだった。
「風魔よね、確か」
「あっ、小田原が近かったわね」
「東の方の忍者のところには行ったことないのよ、私」
「私関東自体に」
裕香はこう言った。
「ずっと奈良の山奥にいたから」
「奈良の山奥って相当よね」
「ええ、忍者の里みたいよ」
冗談抜きでそうである、奈良の山奥は。
「奈良はね」
「そうなのね、私伊賀とか甲賀には何度も行ったことあるわよ。根来もね」
「忍者だからなの」
「そうなの、ほかにも関西のあちこちに行ってるわ」
「奈良とかにも?」
「東大寺行ったわよ」
菊は裕香に笑顔で話した。
「あそこの鹿も見たわ」
「性格悪いから、あそこの鹿は」
裕香は春日大社の鹿の話もした。
「気をつけてね」
「あそこの鹿ひょっとして嫌われてるの?」
「奈良県民にはね」
実際にそうだとだ、裕香は菊に答えた。
「態度でかいし何でも強奪してでも食べるし悪戯には仕返しで返すし」
「仕返ししてくるの」
「相手が隙を見せた時にね」
狡猾にも、だ。そうしてくるというのだ。
「頭突きとか体当たりしてくるわよ」
「頭いいのね」
「悪い意味でね」
そうだというのだ。
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