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美しき異形達
第八話 土の忍者その十
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「奥義の中の奥義なんだけれどな」
「そうそうは使えない筈ね」
「免許皆伝でもね」
 菖蒲も菊もそのことは聞いているので言う、それだけ気を使うことは難しく武術でも最大の極意の一つであることをだ。
 だがその三人にだ、医師は話した。
「それだけ貴女達が強いということでしょうか」
「そうかねえ、まあ急に強くなったしな」
 薊は医師の今の言葉を聞いていぶかしむ顔で考えて述べた。
「そうなるかね」
「そうかも知れませんね」
 医師はこのことは今はこう言うだけだった、気の話を最後にして三人は医師との話を終えて病院を後にした。病院を出るとそこには裕香が待っていた。
「終わったのね」
「ああ、今さ」
 薊がその裕香に答えた。表情はいつも通りではなく少し晴れない感じだ。
「何かあまりわからなかったよ」
「身体検査をしても」
「とりあえず調べるってさ」
「そうなのね」
「気の話もなあ」
 ここで薊は裕香に医師と彼女達で話した気の話の内容を説明した。案外わかりやすい説明だったので裕香も聞き終えてからこう言った。
「そうなのね、属性ね」
「そうも言われたよ」
「気なのね、薊ちゃん達の力って」
「そうみたいだな」
 医師の話では、というのだ。
「何か仏さんの話もされたしな」
「明王ね」
「あたしの力は火だからさ」
 それでだというのだ。
「明王になるみたいだな」
「お不動さんとかよね」
「そうそう、不動明王の後ろの火とか」
「ああいう感じでなの」
「そうした属性らしいんだよ」
「じゃあ薊ちゃんは明王とか?」
「おいおい、あたしそんな大層なものじゃないよ」
 薊は裕香の今の言葉には笑って返した。
「幾ら何でもな」
「違うのね」
「違うよ、あたしいつも怒ってないだろ」
 明王は菩薩の憤怒身とされている、不動明王は大日如来が憤怒した姿であるという。尚不動明王のアカラナータという名はヒンズーのシヴァ神の別名である。
「別に」
「それはそうだけれどね」
「けれど火だからか」
「うん、お不動さんみたいって」
「そうなるよな、けれど何でなんだろうな」
 首を傾げさせてまた言う薊だった。今は四人で街を歩いている。病院から出て後はフリーなので遊びに出ているのだ。
 その街の中を見ながらだ、薊は言うのだった。
「あたし達の力って」
「まずは身体検査の結果待ちね」
 菖蒲がその薊に言った。
「それまでは待ちましょう」
「そうするしかないか」
「待つことも必要よ」
 菖蒲はこう薊に話す。
「焦らずにね」
「やっぱりそうなるか。性分じゃないけれどな」
「待っている間は楽しみましょう」
「楽しむって?」
「こうして街を歩いても楽しめるわ」
 今四人がいる神戸の八条町の中をというのだ。
「これ
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