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トワノクウ
トワノクウ
第一夜 空し身(二)
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ざいましたらカプセルの内側のどこかに触れれば係員が……=\―


 くうは思いきり両手を伸ばす。どこにも当たらない。

(だって、ここはただの3Dアドベンチャーで)

 腕を振り回す。どこにも当たらない。自分の足で駆けてもどこにもぶつからない。飛んでも跳ねても求める感触はない。

(カプセルを出ればホールの壁が見えるはずで)

 カプセルが、ない。

「――っ!!」

 違う。
 これはまぎれもない現実の光景だ。

 ふらついたくうの視界を白銀がよぎる。
 蜘蛛の糸でもつけたかと思って指をやると、白銀はくう自身の髪の毛だった。

「――や、」

 くうは髪を引っ張って目の前に持ってきた。白い。いくら髪を掻き乱しても白しかない。母譲りの黒い毛がどこにもない。

 頭を抱えて膝をついた。

「いやあああああっっ」

 ――篠ノ女空は、異世界に来てしまった。





 ちりーん。ちりーん。
 通りゃんせ、通りゃんせ。ここはどこの細道じゃ。



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