それから
からくり箱
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実際に夏希の実家…鈴城家に行ったのは2日後。
昨日は家の場所の確認とか、気持ちの整理とかでなしになった。
以前調べたときに解ったように、夏希は本物の人間ではない。
フェイトやエリオと同じクローン。
わたしも似たような立場だけど、全然違う。
わたしは元になった人間だから。
夏希の元になった人間は鈴城希。
鈴城家の本当の子供。
わたしとフェイトのお母さん…プレシアはフェイトを認められなかった。
でも夏希の両親は夏希を希とは別の子供として見ていた。のにも関わらず、成功例の少ないクローンの完成体としてスカリエッティは夏希の記憶を操作して誘拐した。
けど六課に入って少ししたら、その記憶も元に戻った。
思い出したくなかった記憶もあった。でも、いつまでも両親のことを知らないままでいたくなかった。だから今は思い出せてよかったと思うんだ。
記憶が戻って少しした頃に夏希が言っていた。
「さて、準備はできたか?」
夏希の実家はミッドとは別の世界らしく、六課から一番近い転移装置からその世界にうつり、そこから歩くらしい。
わたしは頷く。
「なら…第38管理世界、レヴォルト…転移!」
転移した先は最低限の建造物と緑のあふれる場所。
レヴォルトは自然を大切にしているせいでそこまで発達はしていないらしい。
「…何年も来てなかったけど、あまり変わってないもんだな」
目の前にある景色を見ながら夏希が呟く。
本来ならもっと変わっていてもいいはずだけど、自然を大切にしているからわかるのだろう。
多少道があやふやなところもあったけど、わたしたちは夏希の家へと向かった。
「ここがオレの…鈴城家だ」
そこにあるのはレヴォルトにきてから初めてみつけた豪邸と呼ぶに相応しい家。
クローンが作り出せるのだからそれなりにお金持ちだとは思っていたけど…。
浅賀家と同じくらい広いのかな?
「…鍵かかってる」
「いや、当たり前でしょ」
夏希はドアノブから手を離し、近くをキョロキョロとみる。
落ちてるわけないでしょうが。
「あ、あった」
「あったの!?」
玄関から少し離れたところにある植木鉢の下から立方体の何かを取り出した。
そしてそれをカチャカチャと弄り出す。
からくり箱…だっけ、たしか。
決められた順番に動かしていかないと開かない仕掛け箱。
「で、最後にこれを引っ張って…よし」
ものの数分で仕掛けをクリアし、中から鍵をとりだす。
「我ながらよく覚えていたものだな」
そう言いながら鍵を開けた。
扉は何年も使用されていなかったせいか重く、動きが悪い。
中も薄暗く、埃っぽい。
でも、予想していたよりは綺麗だった。
「アリシア、軽く掃除してもいいか?」
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