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相棒は妹
志乃「飯」
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ろで辞めるのはもったいない。

 家族はもちろん、俺の事情を良く知る健一郎を始めとした友達にも言われた。そして、俺はその度にこう返す。

 俺は逃げたんだから、そんなに良いように見ないでくれ、ってね。

 だから、今の健一郎に対してもあくまで冷静な態度で同じ台詞を口にする。


 「俺は剣道から逃げたんだ。そんなに大層な事じゃない。俺はいつまでも下手くそだしな」


 「本当にそう思ってるのか?」


 俺の言葉にすかさずそう返してくる。何が言いたいんだ?

 俺の疑問を解くように、眼前の坊主はさらっと言う。

 「お前は、自分が剣道を出来るって思ってたんじゃないのか?」

 「……」

 俺は健一郎の顔を見据える。こいつは無表情で、俺に問いかける。こいつはさばさばしていて思った事を素直に言うタイプだから、今の問いも純粋にそう感じたのだろう。

 だから俺は笑いながらその疑問を否定する。


 「そりゃ無いな。俺がなかなか到達しないのを見てきたろ?俺はお前と違って才能の無い人間だ」


 「じゃあ聞くが、何で今まで続けてきたんだ?」


 その問いに、俺の口が動きを止めた。

 何で俺は剣道を続けたんだ?上達が遅くて、後輩にバカにされて、監督に呆れられたりしたのに。小学校で辞める筈だったのに。剣道しか道が無かったから?他にやる事が無かったから?分からない。自分の事なのに、分からない。


 「お前はきっと、心のどこかで剣道が好きだった筈だ。じゃなきゃ、中学に入った時にお前は剣道をやっていなかった」


 健一郎が俺にそう言ってくる。実際、そうなのかもしれない。初めて試合で勝った時の達成感は今でも覚えている。初勝利を収めた時、皆が笑顔をくれた。俺は本当に嬉しかった。


 「俺は……負けてばっかりだった。だから剣道は嫌いなものだと思ってた。でも違った。小学校卒業間際に監督に言われた。『お前は中学から伸びる』って。だから……もうちょっとやってみようと思ったんだ」


 気付いたら俺は言葉を見つけ出していた。すっかり無意識だったが、それは確かな記憶がもたらす本音だった。


 「それで、監督の予想は当たった。俺は中学に入ってどんどん上達していった。強敵とぶつかった時の楽しさを覚えた」


 だけど。

 だけど、それは違うんだ。


 「俺は勝手に一人で盛り上がってただけだったんだ」

 「……」


 「道場の同期は皆私立中学校に入って剣道をやってた。俺は近所の中学校で剣道をやってた。ああくそ、この時点で一人遊びだったんじゃん」


 経験者が初心者相手に勝利に浸って、調子に乗っていた。それが強敵と戦う踏ん張りになったといえば聞こ
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