志乃「ひたすら歌え」
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「私に報告しなくていいんだけど」
俺は我が妹にそう宣言し、黒のジャージを脱ぐ。冷や汗凄かったわー。ジャージ脱いで正解だな。
俺はカラオケの画面の下にある機器を動かして、音量やエコーなどの調節をする。標準だと歌いにくいんだよ。
志乃はその間、フードメニューを見ていた。こいつ、さっき昼飯食べたばっかなのにまた食う気か?ジュースだけじゃ足りないとでも?
調節を終えた俺が、メニューとにらめっこをしている志乃を見つめていると、志乃はこんな事を言ってきた。
「ひたすら歌え」
「……は?」
今こいつ、なんて言った?ひたすら歌え?何それどういうこと?何で俺、こいつに命令されてんの?
「激しい曲とか歌って」
おまけに曲の細かいところまで注文してきやがった。
「それと、メンチカツ食べたい」
「ざけんな!自分で払え!」
ついに俺は叫んでしまった。これは不可抗力だと言わせてくれ。何で俺が妹のためにメンチカツを頼まなければならないんだ。全部食われちまうだろうが!
あ、今思ったんだけど、このカラオケの料金って俺持ち……?
「兄貴持ちだからよろしく」
「俺の心の中を読み取るな!怖ぇなお前!」
何より怖いのは、こいつの淡々とした顔。何でここまで普通に命じたり出来るのかが分からん。もしかして、最近ニュースでやってる殺し屋さんってこいつなんじゃね?
俺は溜息を吐きながら、志乃から目を離す。ま、一つぐらいなら良いか。
入口近くにある受話器を取って、俺は注文を取る。
「すみません、オレンジジュース二つと、メンチカツ一つ」
そう言い終えて、マイクを取ろうとした時、偶然志乃と目があった。
何でこいつ、こんな不思議そうな顔してんだ?
「何か用か?お前も歌う?」
「そうじゃなくて……」
そこで一拍空いて、志乃が疑問を口にする。
「何で本当にメンチカツ頼んだの?」
「逆にその質問の意味を教えろ。まさか、俺に無駄遣いさせるために言ったのか」
陰湿すぎるだろ!本当に金無くなるわ!
「そうじゃないけど。本当にメンチカツ頼むなんて思わなかったから」
意味が分からない。もしかして、俺を試したのか?妹のくせになんてマネするんだ。女って怖いな。
「お前が食いたいって言ったから頼んだ。それだけだよ」
俺は本音を口にする。妹に命令されたり指図されたりするのはガチでムカつくけどな。
「別に、お前に金払わせる気無いし」
さっきのは普通に冗談としてツッコんだんだけどなー、こ
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