第5章 契約
第89話 吸血鬼伝説
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反論を口にしようとして、しかし、別の方向からの考えが浮かび、寸でのトコロで、口から出かかったかなり不満げな台詞を呑み込む俺。
そう。それは輪廻転生に関わる事案。これは前世の俺の罪。その可能性なら有る。しかし、前世の俺がそんな事をやったと言われても……。
「この娘はおそらくカトレア。カトレア・イヴェット・ラ・ボーム・ル・ブラン・ド・ラ・フォンティーヌ。ラ・ヴァリエール家から分家したフォンティーヌ家の当主にして、ルイズの姉に当たる人物」
それまで黙って事の成り行きを見つめて居るだけで有ったタバサが、静かにそう告げて来た。何かを懐かしむような、妙な雰囲気を発した後に。
成るほど。この女性は矢張りルイズの血縁者でしたか。しかし、そのルイズのお姉さんが、前世で俺の行った外法、魔法の実験の被害者……と言うか、双方同意の上なら、それは共犯者と言う間柄だったと言われても……。
「今生の彼女が病弱だと言う話を聞かなかった以上、彼女は違うのか、もしくは、あなたの行った治療が効果を発揮しているのか不明だった。でも、前世と同じようにこうして魂魄に傷を負わされた以上、今まではあなたの治療が効果を発揮して居たと考える方が正しい」
……俄かには信じられない。そう考え掛けた俺。
しかし、その考えを根底から覆すような台詞を続けるタバサ。
そもそも、治療?
う〜む。もしかすると、
「このカトレアと言う女性は、何らかの病を患って居て、そのままではどうしようもない状態だったから、その白蛇の精と融合させて生命を永らえる事が出来た、……とそう言う事なのか、タバサ」
どうにも要領を得ないのですが、簡単に考えるのなら、そう考えるのが妥当なタバサの台詞。
俺の問い掛けに、素直に首肯くタバサ。そして、
「前世の彼女も今回と同じように吸魂鬼に襲われ、結果、魂魄に大きな傷を負い、そのままでは転生の輪に還る事さえ出来ないような状態と成っていた。
しかし、あなたにはその世界の冥府に下り、彼女の失った魂魄の代わりを得て帰って来る方法はなく、まして、その魂を奪った存在を特定する事は更に難しかった」
更に、彼女の病弱な身体を心配した両親が水の秘薬を投与し過ぎた事により副作用が発生。元々土の属性を帯びて居た彼女と、水の精霊の身体を構成する物質――水の秘薬との相性は相克。この関係はかなり悪い関係。この事により、彼女は人間で有りながら、水の妖物と言う奇妙な状況に陥って居た。
其処で、水の属性で有りながら、金行。つまり、白蛇の精で有る白娘子の魂魄とカトレアの残された魂魄を融合して、水妖と化し掛けていた彼女の肉体との絆を取り戻させ、彼女の生命を永らえさせた。
土より金が生じ、金より水が生じる。……と言う事。
俄かには信じられないよ
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