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クズノハ提督録
クズノハ提督帰還
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成る程…夕立、提督の名前は?」
「えーと、実は…配属されたばかりであんまり憶えてないっぽい」
「…これからはちゃんと覚えるんだぞ」
「ごめんなさい」
「まぁ仕方ないわよ!私だってまだ覚えてないんだし!」
雷は悪びれた様子もなく言ってのけた。
「雷ェ…」
「ちゃ、ちゃんと覚えるわよ明日までに…だから元気出して!」
一度とはいえ死線を共に潜り抜けた仲間に名前を覚えられていないとう事実に、少なからず葛葉はショックを受けた様だ。


それから雷に名前を覚えさせ、夕立に名前を覚えることの大切さを説き、日も沈み切った頃。
「…じゃあ明日知り合いの提督にでも聞いてみるわ」
「ありがと。メガネかけてるっぽいくらいしか憶えてないけど…お願いね」
「司令官!明日もまた来るのよ!絶対よ!」
「なのです!」
こうして葛葉提督の初勤務は無事に終わった。






翌日。葛葉は大学の教室で頭を抱えていた。
「探すとは言ったがどうやって…芝田にでも聞いてみようかな…でももし知らなかったら…うーん…」
独り言の多い提督である。
「何をブツブツと喋ってんのさ。怪しいぞ」
見かねた安藤が独り言でやたらと騒がしい葛葉に声をかけた。
「実はな…かくかくしかじか」
「ふむふむ…迷子の夕立か…私は知らんな。そんなこと言ってるやつもいなかったし…」
「言ってる?」
「専用スレが立ってる」
「あ、そうなんだ…」
安藤は生粋のインドア派である。
「芝田にも聞いてみたら?」
「ん、僕がどうした?」
「噂をすれば!?」
意図した様子では無さそうだが、あまりにもベストタイミングの出現である。
「聞きたいことが…ってか芝田お前顔色悪いな。どうかしたのか?」
「あー…実は、昨日鼠輸送に失敗しちゃってね…」
「お前も大変だな」
「不幸としか言えんわ…」
「旗艦曰く、敵に待ち伏せされてたみたいで…ルート練り直さなきゃ…」
「ん?敵と交戦したのか?」
「うん。すぐに撤退したらしいんだけど、一隻だけ迷子になったみたいで…昨日は一睡もできなかったよ」
「それは…辛いな…」

鼠輸送任務…それは激戦地である南西諸島に物資を輸送するという任務なのだが、そんな場所に一隻だけ取り残される…それはどれだけ絶望的なことかは自明であった。

「その艦ってもしかして…夕立だったりしないか?」
「それはないでしょ…」
「え、どうして知ってるの?」
「「え…は?」」
葛葉もまさか当たるとは思わなかったのだろう。暫く安藤と二人して唖然としていた。
「え、嘘でしょ?」
「嘘なんかついてどうするのよ。で、何で知ってるの?」
「実はな」
葛葉は先程
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