第33局
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塔矢家での勉強会を経験することで、あかりは改めて実感していた。ヒカルはプロになる。すでにプロとして十分以上の実力を持っている。中学3年で受けるプロ試験に間違いなく合格するだろう。
ならば、この先もヒカルのそばにいるためには、自分もプロにならなくてはいけない。
ただ、ヒカルは院生にならない。だから、院生になると、ヒカルのそばにいる今の時間が減ってしまう。そのことが、あかりを躊躇わせていた。
「もうちょっと考えてみてもいいかなぁ?」
「まぁ、俺が院生になったのも、中1の冬だったからな。慌てることもないか」
−…ずっと、今が続けばいいのにな。
あかりが心の中で小さくつぶやいた思いは、佐為だけに届いていた。佐為は、そんなあかりを優しげな目で見つめていた。
− アメリカ −
第20回国際アマチュア囲碁カップを目前にして、アメリカ代表の青年は心を高ぶらせていた。
−今のボクの力でどこまで通用するか…、ほんとに楽しみだ。今回はネット碁のおかげで、かなり充実した練習ができたからな。この半年で、ネット碁の参加者のレベルは数段上がった。今じゃプロレベルの参加者もさほど珍しくない。これもすべてsaiのおかげだ。saiの存在が広まるにつれて、大勢の上級者たちがネット碁に集ってきた。JPN、日本のsai。彼はいったい何者なんだろう…。
− オランダ −
オランダ代表の大学助手の壮年の男性もまた、saiに思いを馳せていた。
−ネット碁に突如現れてから今だ無敗…。まったくチャットを交わさない、正体不明の人物…。すでに、日本・中国・韓国の何人ものプロたちが敗れているにもかかわらず、誰も知らない謎の打ち手…。最近のsaiの対局相手はますますレベルが上がっている。ボクが見ても理解できない碁も多い…。以前に比べて対局数が減っているのがほんとに残念だ。せっかく日本にいけるんだ。今度の日本での大会、saiの事が少しでも分かればいいのだが…。そして、彼の弟子たち、akaとasuの事も…。最近になって、akiraという人物もsaiとの対局が増えているが、果たしてsaiとの関係は…。
− 中国 −
中国代表の李は、ネット碁で今日もsaiの対局を観戦していた。
−…相変わらず、強い。相手も間違いなくかなりの腕前なのに、saiに翻弄されている…。今のsaiの手、最強の一手でも最善の一手でもない……。明らかに相手がどう打つか試している手だ。それも、はるかな高みから見下ろしているかのように…。今回もまた、saiの勝ちだな。相手はyu…、KORだから韓国か…。先日対局していた日本のRX7も随分と強かったが、この相手もま
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