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後悔先に立たず、後に立つべし
8話
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許したくないというのなら私にはどうしようもありません。」
「条件付きで、許してもいい。」
「何ですか、私に出来ることならいいですよ。」

 アーニャが顔を上げって、私に訴えかけてきます。

「守らせて欲しい。」 
「守るですか。」
「ジェイルに聞いた。戒は秘密がバレたらいろんな国や組織に狙われるって。」
「気にしなくてもいいんですよ。それは、私の問題ですから。」
「そんなことできない。戒助けてくれた。その為に、あんなにいっぱい傷ついた。」
「あれは、私が好きでやったことですから。」
「そんなことない、私が頼まなければあんな事に成らなかった。だから申し訳ない。」
「そうではありませんよ。あれは、私の感情の問題です。どうしても、友達であるあなたを見捨てることは出来なかっただけですから。それに、私はあなたの居場所を奪ってしまいました。」
「そんなことない、おかげで記憶を取り戻すことができた。」
「それは、良かったですね。」
「だから、仮初の居場所が失われただけ。」
「本当の居場所も失われてしまいましたよ。」
「記憶にあった場所もあまり良くなかった。」

 そう言って、顔を不伏せてしまう。あまり良い感情を持ていないようです。

「だから、本当の居場所はここ。」
「私には、きっと危険が付きまとっています。その私を守ろうとすることは、とても危険なことですよ。一時の感情で決めることではありません。」

 アーニャが顔を再び上げて、私に訴えかけます。

「私が自分の意志で決めた事だから、後悔しない。」

 強い意志の篭った瞳でこちらを見ます。

「それでは、お願いします。」
「我が儘言って、ごめん。」
「それでは、私も疲れたので休みます。アーニャも休んでください。」
「訓練頑張る。」
「ゲシュペンストですか。」
「頑張る。」
「無理はしないようにしてください。おやすみ、アーニャ。」
「おやすみ、戒。」

 そうして、私は眠りに就いた。
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