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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
箱庭のとある日常
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の“ノーネーム”。」

一輝はそう言いながら、爪をつかんでいる相手を観察する。

「ふむ、コイツの近くで陽炎が起こってることと長さのおかしい両足から考えて、コイツが魃で間違いないか?」
『は、はい。間違いなく、魃ですが・・・』
「そうか。それはちょうど良かった。」

一輝がそう言いながら手を離すと、魃は一輝から距離をとる。
そのまま逃げようともしたのだが、一輝の張った結界によってそれは出来ぬ相談になってしまった。

「にしても、魃と遭遇するとか・・・変な縁を感じるな。俺が殺した白澤に、五代目が殺したやつのこともあるし・・・」
『どうするのですか?』

一輝が考え事をしていると、後ろからユニコーンが話しかける。

「どうする、ってと?」
『魃をどうするのかと思いまして。』
「ああ、なるほどなるほど。そうだな・・・あれって、倒したらまずかったりするかな?」
『いえ、問題ないと思います。』
「じゃあ次に、あれって倒したらお金か何かもらえたりするかな?」
『あれ自体が、売れると思いますが。』
「ん、なら倒そう。」

一輝はそう言いながら量産型・妖刀を抜き、

「一閃、絶雅。」

一太刀の下、魃を倒して見せた。



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「とまあ、そんなことがありましたとさ。」
「つまり、いつもと変わらない人助け、ってことね。」
「ですね、安心しました。」

二人はいつもと代わらぬ一輝の様子に、笑みを浮かべた。

「でも、それなら正直に言えばよかったじゃない。」
「やだよ、わざわざ人に言うことでもない。つーか、おまえ達にも話すつもりは無かったのに・・・」
「ダメですよ。せめて、私達には話してください。」

鳴央はそう言いながら立ち上がる。

「一輝さんが自分のやったことをなんとも思っていないのは、良いことだと思います。でも、それを誰にも知られていないのは悲しいです。」
「そういうこと。だからせめて、私達には話しなさい。」

鳴央に続いて音央も立ち上がり、そう言ってから、

「じゃあ、私達は仕事に戻るわね。まだやることもあるし。」
「それなら、俺に聞きだそうとなんてしないで仕事しようぜ?」
「それも、私達の仕事ですよ。」

一輝は、どんな仕事だ、とは言わなかった。

「あ、そうだ。今度、六本傷のカフェで私と鳴央に何かおごって。口止め料、って事で」
「了解。それくらいならお安い御用だ。」

そして、一輝を残して二人は仕事に戻っていった。


余談だが、結局一輝がやったことは御礼に来たユニコーンによって、コミュニティ全員の知るところとなったのである。

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