オーバーロード編
キカイダーコラボSP編
第36話 僕のままで
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ジローと出会ってから3日後。光実は久しぶりに学校に登校した。
ビートライダーズ活動をしない上、出社命令もない日なので、暇を持て余したのだ。
つまらない授業を終えての放課後、昇降口を出た光実は、校門に佇むジローを見つけた。
「ミッチっ」
ジローは光実を見つけるや、尻尾を振る犬のようにこちらに駆けて来た。
「どうしたの、ジロー」
「迎えに来た。ヘキサに頼まれて。ヘキサ、『なるべく一人にしたくない』って言ってた」
「心配させちゃったか……」
光実はジローと並んで家路に就いた。
「あれから何か思い出した?」
湾沿いの遊歩道まで来たところで、光実はジローに話題を振った。
――ジローは現在、呉島邸に居候している。貴虎には、「SNSで知り合った外国の友人が遊びに来た」で通した。
ジローは呉島邸に住まう間、あれこれ家事を手伝ってくれた。男手があると助かる、とすっかりハウスキーパーたちの人気者だ。
「守らなきゃいけない人がいたはずなんだ」
「それが思い出せたこと? 他には?」
ジローは痛ましげに首を横に振った。こんな状態が3日も続いている。
「ねえ。もう一度、REBOOTボタンを押してみていい? 再起動すれば思い出せるかもしれないよ」
背後に回ろうとした光実を、ジローは腕をクロスしてディフェンスした。
「いやだ」
「どうして」
「だってREBOOTボタンを押したら、ハカイダーみたいになるかもしれない」
「ハカイダー?」
「ものすごく強いロボット。破壊する、ロボット。ミッチと会う前に、会った。――思い、出した」
ジローは今気づいたというように呆然としていた。
――再起動したら破壊者になるかもしれないという、恐れ。優しい自分で在りたいという、良心――
「今のままがいい」
「……分かるよ。今の僕なら。僕も自分の中の暗闇が一番怖いから」
「ミッチも?」
驚きも露わに自分を見るジローに、光実は肯き返した。――光実の計画は、舞の集会が潰れたことで半分以上が達成された。残るは仕上げのみ。
「でも、守らなきゃいけない人がいるんでしょ」
ジローは困ったように顔を伏せた。人造人間だという彼でさえ、こんなにも血の通った表情ができる。
それに比べて光実はどうだ。本当の自分になれる場所と言いながら、チーム鎧武でどれだけ「本当」の顔をした?
「僕はあの人たちを守るためなら、どんなことだってしてみせるって決めてるんだ。それまで僕は絶対僕のままでいるんだ」
「守るため――ぼくのままで――」
ジローは噛み含めるように光実の言葉を反芻している。
きゃあああああっっ!!
はっとする。悲鳴。
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