アリシゼーション編
序章?彼の世界で待つ者
白亜の塔にある者達
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色から元老院の出だと分かる。
「元老院から指令であります。お目を通し下さい」
「……ああ」
正確には元老院ではなく、人界を監視する生ける屍共からの報告を事務員が纏めたものだが、男はそれを眉一つ動かさず受け取って紐を解く。
内容は大方察した通り、出征の指令だった。
「あん?確かここは……」
「はっ。騎士団長閣下の出征場所であります。元老院が発見した敵数より多くの敵影があり、との事です」
「……分かった、すぐに出よう。……ベルクーリなら問題ない気もするが」
昇降口に向かおうとする彼に従卒の男は姿勢を正し、騎士礼をすると張りのある声で言った。
「レイ?トレーター?ルナ指南役閣下。御武運を」
その声に彼は手を振って応えると、そのまま虚空から朱色の鞘に入った大太刀を取り出す。
「さて、暴れようか。《氷炎丸》」
同時刻、塔屋内修練場。
1フロア分の面積と数フロア分の高さが丸々訓練場となっているこの場所は人界を守護する最強の戦士達、整合騎士専用のものだ。任務の合間、騎士達はこの場で己の研鑽を行い次の戦いに備えている。
今、この場には2人の騎士が居た。そのうち整合騎士は1人だ。
「ハアァァァァーーーッ!!」
「ヤアッ??」
片方の騎士が裂帛の気合と共に繰り出した細剣の突きを、もう片方の騎士が細い片手直剣で打ち払う。
細剣の騎士はその強力ないなしに体勢を崩されることなく、地面に踏みとどまるとさらに速度を早めた3連続突きを片手直剣の騎士に放った。
「へぇ?連続剣ですか。……甘いです」
相対する騎士から若々しい女性の声が発せられる。
というか細剣の騎士が厳重に全身を甲冑と兜で覆っているのにも関わらず、片手直剣の騎士は甲冑こそ身にまとっているものの、兜は被っていない。
流れる豊かな黒髪のストレートヘアーをブルーのカチューシャで留め、藍色の甲冑を纏った彼女は細剣の騎士の猛攻をものともせずその全てをそれらを上回る速さで弾いた。
「くっ……!?」
「……とはいえ、随分とお強くなりました。ファナティオ副騎士団長殿」
甲冑と同色の藍色の剣を半身のまま正眼に構え、鋭く突き出す。
衝撃波を撒き散らしながらその切っ先はファナティオの兜の数センチ手前で止まり、模擬戦の勝敗は決した。
「……ご鞭撻、感謝いたします。指南補佐役殿」
「こちらこそ。久しぶりに貴女と打ち合えていい経験となりました。……私といる時ぐらいは兜をとって欲しいですが」
「貴女様の腕を疑っている訳ではありませんが、模擬戦ですので」
「あ、そう
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