第三章 一話 ネージリンス・ジャンクションでの一幕
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ギリアスを見つけていた。
どうやら砲撃担当のクルーと艦隊戦時の回避機動と砲撃軸の擦り合わせについて相談していたようである。
「敵艦の砲撃をターンしながらかわせばなんとかこっちの舷側の副砲の射程内で斉射が可能です。主砲は艦首にありますからターン回避機動をすると可動領域が著しく制限されて命中精度が下がりますが…」
「てこたぁ全砲で直撃させるには完全なターン回避じゃなくて半ターン回避ぐらいが丁度ってところか」
「そうですね…多少の砲撃ならバウンゼィの装甲厚で充分耐えられます。いっそ装甲強化を重ねて避けずに正面から撃ち合うという戦法も取れるはずですが…」
「それもありっちゃありだがな…どうすっか…」
「よぉ、悩んでいるみたいだな若者よ」
白野はギリアスとバウンゼィの砲撃担当の正面の席に座った。
「あんたか。さっきの、聞いてたのか?」
「ああ。どうも戦術転換をしようとしてるらしいな」
「そうなんだがな…バウンゼィの装甲は確かにさっき言ったみてえに避けない撃ち合いでもイケるくらい硬いとは思う。だがな…」
本来なら巡洋艦であるバウンゼィは戦艦の正面からの撃ち合いではなくユニコーンのような回避しつつ敵艦に詰め寄り痛撃を与えて急速離脱という戦法の方が適している。だが、バウンゼィはノーマルの巡洋艦よりもはるかに強固な装甲と高出力レーザーを備えているので戦艦まがいの戦い方もできるといえばできる。
「随分悩んでいるな。だがまあ、戦い続けて行けばそのうち自分に適した戦法も見つかる。客観的に言ってバウンゼィは避けも正面からも両方こなせる。後はお前次第だ。この件に関してそれ以上の助言はないな」
「悩むぜ…」
「ただ、船の管理者として一言付け加えるなら、正面からは装甲修理費がバカにならんとだけ言っておこう」
「ちと考えてみるぜ」
「そうするがいい」
白野があのような常軌を逸した操船技術を磨いたのも、ひとえに初期の彼は金がなかったということが主因の一つである。
金欠のランカーというのも情けない話だが、誰しも船の改造のために資金繰りに追われるというのは経験したことがあるだろう。
話終えた白野はマスターにジンジャーエールを注文した。
「おや、また来ましたねお客さん。いい整備士はいましたかな?」
「ああ。おかげで信頼できる奴を雇えた。情報、感謝する」
「いえいえ、こちらこそ」
ジンジャーエールを飲みながら白野はこれからのスケジュールを編んでいた。ユニコーンの補給が終わればゲイケットから連絡が来る。そうしたら、すぐにエルメッツァ星間連合へと繋がるゲートに向けて出発である。
エルメッツァは小マゼランで一番の大国である。ネージリンス、カルバライヤの両国とは友好関係を結ん
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