7部分:第七章
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見る限りはじゃ」
「見る限りは?」
「あんたには肝がある」
まずはだ。それが備わっているというのだ。
そしてさらにだ。アリサを見つつこうも話すのだった。
「しかもいい目をしておる」
「人を殺した人間の目ね」
「いやいや、占いができる目じゃ」
そういう目だというのだ。
「よい目じゃ」
「そうかしら」
「まあおいおいわかる。それではじゃ」
「一緒に来いっていうのね」
「下らん奴等を殺して捕まるのは下らん話じゃ」
老婆の考えである。この考えは常識で考えればまともではない。しかし老婆にとってはだ。それは至極当然のことだった。あくまで老婆にとってはだ。
「そうじゃ。復讐は当然のことじゃしな」
「それならだというのね」
「わしも弟子が欲しいところじゃった」
もう一つの理由も話すのだった。
「そういうことじゃ。どうじゃ?」
「選択肢はないわね」
アリサは苦笑いと共に話した。
「さもないと捕まって」
「死刑じゃな」
「ニューヨークに死刑はあったかのう」
「あったと思うわ」
アメリカは州によって死刑があったりなかったりする。アリサはそれは知っていたが自分のいるニューヨークにそれがあるかどうかは知らないのだ。
「確かね」
「では間違いないな」
「五人も殺せば死刑ね」
「少なくとも実刑は免れん」
刑務所に入ることはだ。それも百年やそういう単位だ。アメリカの懲役は尋常な年季ではない。この辺りは妙にバランスが悪いと言えるだろうか。
「それでよいか?」
「だから選択肢は一つしかないわ」
「そうじゃな。それではな」
「ええ、一緒に行かせてもらうわ」
「そういうことでな。共に行こうぞ」
こんな話をしてだった。アリサは老婆と共にロマニに入りその中で占い師として生きることになった。この占い師が過去何だったのか。それは誰も知らなかった。気付く筈もないことだった。
復讐 完
2011・4・26
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