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魔法少女リリカルなのは 〜黒衣の魔導剣士〜
空白期 第4話 「揃う少女達」
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 闇の書事件が終わってからというもの、俺は朝にもトレーニングをするようになった。といっても内容はランニングくらいであり、高町のようにがっつりとはやっていない。俺は彼女と違って家事をしなければならない立場であるため、あまり長時間やれないのが最大の理由だ。
 初詣に行く今日は普段より短い距離を走って帰路についた。できるだけ音を立てないように扉を開けて中に入ると、食欲を刺激される匂いを感じた。匂いを辿っていくと、キッチンには料理中のディアーチェの姿がある。昨日と同様にポニーテールだ。

「ん、貴様か……どうかしたか?」
「いや……別に」

 正直に言うなら誰かに作ってもらうということに慣れていないため違和感を覚えている。
 はやてに何度か手料理を振舞ってもらったことはあるが、それははやての家でのこと。他人の家で料理を振舞ってもらうのと、自分の家で他人に料理を作ってもらうのではかなり違いがあるはずだ。
 俺の反応がディアーチェの不安を煽ったのか、彼女の表情が曇る。こちらの顔色を窺うようにしながら再度話しかけてきた。

「その……いけなかったか?」
「そんなことはない。ディアーチェの料理は美味しいしありがたいと思うよ……けど」
「けど?」
「普段やっていることをやらないと違和感があるって感じかな……」
「ふむ……ならば一緒に作るか」

 意外な言葉に再び戸惑う。
 別にディアーチェと料理するのが嫌というわけではない。ただ彼女と出会ったのは昨日が初めてなのだ。叔母の話では物心付く前に会っている可能性もあるがこれは今は省く。一緒に料理するのを考えるとやはり違和感を覚えてしまう。
 それにどちらかがシュテルのエプロンを使うことになる。俺もディアーチェもあれを使うのには恥ずかしさを感じてしまうだろう。加えて、レーネさんが料理中に起きてきたならば昨日のような展開になってもおかしくない。
 そのように考えていると、何か勘違いをしたのかディアーチェが顔を赤らめながら話し始める。

「か、勘違いするな! 別に一緒に作りたいのではないぞ。我が好き勝手に振舞うのも躊躇われるし、貴様が普段と違って違和感があるというから……!」
「別にしてない。ただ一緒に作ってるのもレーネさんに見られたら面倒だなって思っただけだよ」
「む……確かに」
「……任せていいかな? 汗かいてるからシャワー浴びたいし」

 俺の発言にディアーチェは驚いたが、いつもの表情を浮かべると力強く頷いた。
 彼女は俺から引いてくれたと思っていそうだが、シャワーを浴びたいのも事実だ。予定ではもうすぐシュテル達が来ることになっているため、このままだと会ったときに何か言われてしまうかもしれない。
 これも理由ではあるが、そもそも俺とディアーチェでは彼女の方が料理上手だ。美味しい
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