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星の輝き
第31局
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いるとかすれてしまうんだ。それ、漆で線引きするから、専門の業者を経由して頼むんだよ」
「へーっ!これ漆なんだ!」
「お、花器も知らなかった芦原が、ずいぶんえらそうだな」
「あ、また緒方さんはすぐそうやって!」
「アキラなら知っているな。今度進藤君を紹介してあげるといい」
「あ、はい。分かりました。進藤、案内するよ」
「ああ、頼むな」

−慶長の花器のことですね、ヒカル。
−ああ。あのままにしておくわけにはいかないからな。

 江戸初期の慶長時代、天才作陶家と謳われた弥衛門。彼が残した数々の作品は、今もなお多くの愛好家達にとって垂涎の品だ。そんな弥衛門が残した作品の中でも、真骨頂といわれるのは花器。形には品があり、藍色の冴えは素晴らしいものがあった。
 そんな花器の中でも、幻の一品と呼ばれている物があった。かつて、佐為が秀策とともに京の御所へ囲碁指南に(おもむ)いた際に目にしたその花器と、ヒカルは以前の世界で偶然に遭遇していた。佐為にとっても大事な思い出の品であるその花器、ヒカルはこの世界でも何とかしようと思っていた。
 
 そして、つい先日、以前の世界と同じように店の主人を口車に乗せて、花器を入手すること自体には成功していた。(ガマ蛙顔におびえる佐為が非常に邪魔だった…)
 しかし、以前の世界で出会った本来の持ち主の女の子とは、遭遇することができなかったのだ。詳細な日時までは記憶に残っていなかったためだ。当時騙されていた男性もいなかったので、どうやら以前とは別の日だったようだ。そのために、まだ花器を本来の持ち主に返すことができていなかったのだ。
 貴重な品物であるだけに、このままにしておく訳にもいかなかった。
 そこでヒカルは考えたのだ。有名な作品であれば、その道のプロであれば持ち主などの情報もあるのではないかと。祖父ではどうもあてにならないと判断したヒカルは、塔矢名人に伝手を頼んでみることにしたのだった。


 そして、アキラの案内で紹介された店主は、まさにヒカルの期待通りの人物だった。古美術愛好家としても有名な人らしく、その業界ではかなりの重鎮とのことだった。彼は、弥衛門の幻の作品とまで言われた花器が半年ほど前に盗難にあっていたことも聞き及んでおり、それが無事に発見されたことを我が事のように喜んでくれた。そして、自分の責任で間違いなく本人に返却すると約束してくれた。
 塔矢名人の紹介で、人柄的にも信頼できると判断したヒカルと佐為は、花器を預ける決断を下した。正直、どれだけの価値があるかわからないものを、これ以上素人の自分が持っているのが怖かったというのも理由の一つだったが。


 若獅子戦が倉田プロの優勝で幕を閉じ、迎えた塔矢家勉強会。その日は、驚きの出会いが待ち受けていた。

「進藤君、先日道具屋の
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