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万華鏡
第七十二話 三学期その十一
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「相手が悪いのよ」
「つまりあれだよな」
 相手が悪いと聞いてだ、美優はきつねうどんを食べつつこう言った。
「田中マー君と普通のチームのエースだよな」
「それも一年負け知らずだった時のね」
 その時の田中将大というのだ。
「それか調子のいい時のダルビッシュね」
「カレーがそっちだよな」
「ハヤシは普通のエースよ」
 そこまで違うというのだ。
「確かにいいけれど」
「相手が悪いな」
「悪過ぎるわ」
 幾ら何でも、というのだ。
「カレーはまた別格だから」
「この食堂でもカレーはあってね」 
 里香はラーメンを食べつつ言う。醤油ラーメンだ。
「チキンカレーにポークカレーに」
「野菜カレー、ハンバーグカレー、シーフードカレー、ソーセージカレー」
「一杯あるわね」
「カレーの種類は多いわ」 
 里香は王者をこう言うのだった。
「これでもかって位にね」
「けれどハヤシは一種類」
「ハヤシライスだけ」
「それ以外はないわね」
「チキンハヤシとかは」
「ハンバーグハヤシも」
「多分バリエーションを作れないのよ」
 ハヤシは、というのだ。
「カレールーと違って」
「そういえばカレールーってね」
 琴乃もここで言う、きし麺を食べつつ。
「バリエーションあるわね」
「そうでしょ、かなりね」
「だからカツカレーなり何なり出来るのね」
「そうなのよ。けれどハヤシライスはね」
「鶏肉や豚肉には合わないわね」
 昨日食べたそのハヤシライスのソースを思い出しつつ述べた、。
「ハンバーグにもソーセージにも」
「スライスした牛肉以外にはでしょ」
「そう、合わないから」
「だからなのね」
「ええ、カレーと比べるとね」
「どうしても弱くなるのね」
「やっぱりカレーは凄いわ」
 景子はカレーに対して感嘆の言葉を出した。
「あそこまでのバリエーションを持てて一般受けするのは」
「そうはないわね」
「お料理の中でもね」
「何かカレーって」
 ここでまた言う琴乃だった。
「王様と呼ぶのに相応しいのね」
「そうでしょ、バリエーションもあって」
「ハヤシライスはあくまでハヤシライスだけれど」
「カレーはまた特別なのよ」
「一つのお料理の域さえも越えていて」
「ラーメンやおうどんみたいにね」
 そのレベルでだというのだ。
「世界になっているところがあるのよ」
「世界ねえ」
「ラーメンだってそうじゃない」
 この料理のこともここで話される。
「凄いバリエーションがあるでしょ」
「塩に豚骨にお醤油に」
「他にもね」
「そういうことなのね。おうどんやおそばも」
「あとスパゲティもね」
 こちらもだった、麺類が多いのはバリエーションを増やす下地があるのであろう、既に。
「丼も」

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