第29局
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……盤面を見るなと?オレに目かくし碁で打てってこと?」
−え!?目かくし碁!?なんと面白そうな!?
「いやいや。ただおまえが海王の1年なら、先生の言うことも先輩の言うことも聞くもんだってことさ」
「…碁は将棋と違って盤面が広い。目かくし碁がプロでも難しいってのは知ってる?」
「おまえならできるだろ。なにせ、将来の名人サマを軽く粉砕したんだ」
−…なーるほど…。こりゃ、嫌がらせってわけだ…。尹先生が姿も見せないってのも考えてみりゃおかしいよな。
−ヒカルー、バシッと思い知らせてあげましょうバシッと。何でしたら私が代わりに!?
−……そーだな、それもいいか。佐為、おまえ打て。
−え!?いいのですか!?…でも、私全部見えちゃってますよ?
−いーのいーの。こんな相手にまじめに付き合うことないの。さっさと叩き潰しちゃえよ。
−…そうですね。囲碁を嫌がらせの小道具にしようなどと許せません。懲らしめてあげましょう!!
−…ノリノリだな…。
「頼まれてもいないのに、腕をひけらかすようなまねをしやがって。偉そうにみんなに向かって大口たたいたんだ。これくらい付き合えよ!」
「はぁ…。一手目をどうぞ」
−佐為、いくぞ。
「16の四、星」
−4の十六、星
「4の十六、星」
伊藤の黒で、対局は始まった。
「これでおまえに勝てたら自慢だよなぁ。なにせ互先だ」
「……」
「あんまりカンタンに自滅されてもつまんねえから、せいぜい打ちマチガイは少なめに頼むぜ」
「…自慢するならさぁ、先輩。勝ってからにしてくれない?」
ヒカルの言葉に、伊藤は吼えた。
「言うじゃないか!プロでも難しいといったのはおまえだ!楽しみだぜこの1局!16の十七、小目!」
−佐為、手加減はいらないからなー
こうして伊藤の、当人大真面目の嫌がらせのつもりの、実は嫌がらせになっていないという実に奇妙な対局が始まった。
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