エリオ・モンディアル
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! 楽しい事なんてなんにもできなかった んだよ! 一回くらいの我儘もダメなのかよ! なんなんだよお前たちは! いきなり現れて僕を 連れ出して、あんなところに押し込んで! 僕 だって、僕だってやりたいことは一杯あるん だ!」
涙があふれ、嗚咽が止まらない。
「走りたい、遊びたい、いろんなことをして、笑 いたい! それを、それを奪ったのに! 僕 は…、僕はどうしたらいいんだ…」
とうとう僕は喋れなくなり、眼を抑える。 するとその人は、僕を降ろしてまっすぐ見てき た。 あぁ、多分殴られるんだろうな…。 僕はそう思って、早く泣き止もうとした。
だけど、僕が感じたのは温もりだった。
「………え?」
颯介「…君は…、昔の俺と同じだ…。 苦しんで、悲 しんで…、報われなかった子だ…。 だから、お前は今から一杯幸せになるんだ。 お前には、そ の権利がある」
そう言うとその人は、僕から離れて笑っていた。
その時、初めて僕はその人を見た。
真っ黒なマント、真っ黒な服。 真っ黒な髪に、真っ赤な瞳。 黒づくめのその人は、太陽の光を受けて輝いて見 えた。 研究所の人たちの悪意が…、その人にはなかっ た。
「…貴方…は…?」
颯介「…颯介・U・スカーレット。 キミ は?」
颯介…、それがその人の名前だった。
エリオ「…エリオ…、モンディアルです…」
颯介「! そっか、お前が…。 …やっぱりあの屑ど も、研究を続けていたのか…」
そう言って颯介さんは僕の頭を優しく撫でる と、歩き始めた。
颯介「ついこい。 お前の足で、こっちにくるんだ」
その言葉は優しくって、温かかった。
エリオ「…はい!」
その時、僕は数年ぶりに心の底から声を発した
次回予告
心を開いたエリオ、颯介はエリオにあることを告げる
次回 養子
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