赤マントにつつまれて
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に纏ったまま素足で湖の端にしゃがみ込む。
「何だ、あれって……… 」
訝しみながらも、イングズもそこへ近寄る。
「ほら、アレ! 向こう! しゃがんで見ないと分かりづらいぜっ」
「ん……? ほう、確かに珍しい魚が──── 」
「そ〜〜れぇっ!!」
「な゙……ッ?!」
バシャアァン ─────
イングズが身を屈めて湖の向こうに目を凝らしているのを見計らい、突如背後から思いきりルーネスが背中を押しやって湖に落とし入れる。
「 ────ぷはッ、お……お前よくも……!」
「へへ〜ん、やったね〜! イングずぶ濡れ〜っ」
羽根つき帽子も外れて頭からびしょ濡れたイングズの金髪は、追い風を受けたような感じからぺったりと下向きになってしまっている。
「うおー? やっぱ印象変わるなー、その感じも似合ってるぜっ!」
「馬鹿者ッ、故意に人を湖に落とすんじゃない! 全く………」
全身から水を滴らせながら、イングズは湖から這い上がる。
「………もう1回っ」
「 ────そうはいくかッ」
またルーネスが押しやってきそうだった所をイングズは難なくかわす。
「なんだよ〜。……まいっか、ずぶ濡れてるとこ見れたしっ! そんでもって……、脱げば?」
「脱がん、お前の思い通りにさせるか」
「え〜、カゼ引くぜ〜?」
「鍛え方が違うんだ、焚き火にさえ当たっていれば自然に乾……ックシュン」
「お……?! 今くしゃみした、イングズがっ。ひゃは〜!」
ルーネスが何をそんなに嬉々としているのか、イングズにはよく判らない。
「お前には付き合ってられ……クシュッ」
「あー、またしたーっ!」
何故か囃し立てられつつ、焚き火の方へ戻って二人して並んで座り込む。
「 じ 〜 ……… 」
「じろじろ見るな、おかしな奴だな……」
「 へへ〜っ 」
急にルーネスが、肩が触れ合う程身を寄せてくる。
「こ、今度は何だ……。というか、引っ付くな。私の方はまだ濡れて──── 」
「いいって別に。……しばらくこうさしてよ」
そう云ってルーネスは赤マントを身に纏った姿のまま、イングズの肩に銀髪の頭を寄せ、目をつむった。
「おい、ルーネス────?」
戸惑ったイングズが呼び掛けるも、既にルーネスは微かな寝息を立てて、眠ったらしい。
────こちらの気も知らないで……。こうして見ていると、まだあどけない少年なのに────
守ってやらなければ、せめてこの旅が終わるまでは。
いや、出来る事ならその後も────
もう一方の手で、イングス
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