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打球は快音響かせて
高校2年
第四十話 しっかりせぇよ
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声が溢れる中で、1人抵抗の声を上げたのはヒットを処理したセンターの鷹合。バネに弾かれたように勢い良く前進すると、ボールをグラブですくい上げ、ワンステップでホーム目がけて投げた。遠投120m、MAX144キロの右腕が唸りを上げた。

バシィッ!
「!!」

ボールはグングンと伸びっぱなしの軌道で、ホームベース上で構える宮園のミットへ。二塁ランナーはまだホームベースの3、4m手前で待ち構えられている形になり、あっさりと憤死する。
南学アルプスからは大きなため息、三龍アルプスからはやんややんやの大喝采。

「鷹合ナイス!」
「よう殺したぞ!」
「おう!任しとけや!」

三龍ナインは、殊勲の鷹合とハイタッチを交わし、鷹合も右腕の力こぶを見せつけて笑顔を見せる。このレーザービーム送球によって、失点のピンチを凌いだ。

「……おい、宮園」

ベンチが鷹合のファインプレーに沸き返る中、美濃部は宮園を呼び止めた。

「お前今、ストライク取りにいくつもりやったん?構え甘かったっちゃけど」
「いや。三振取りにいくつもりだったけど……」

美濃部は宮園の頭をはたいた。

「しっかりせぇよー。構えが中途半端やったら、こっちも投げにくいんやけん」
「ああ、悪い。……でも、際どいスライダーは見られてるぞ。だから球数も増えてるし」
「球数多くても、打ち取れたらええんやけ。球数減らしにかかって打たれたら元も子もないわ。」

美濃部はそう言うと、ベンチの奥に下がって水分補給しに行ってしまった。

(そうは言ってもなぁ、このまま1イニングに20球とか投げてたら、お前自身の体力も集中力も終盤まで保たんだろ〜)

宮園は口をへの字に曲げて悩ましげである。
0点には抑えているが、確実に南学打線の“気味悪さ”に蝕まれていっていた。













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