高校2年
第四十話 しっかりせぇよ
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カーブか!)
カーン!
流し打ちのタイミングでバットを出したのにも関わらず、90キロ台のカーブを渡辺は引っぱってしまった。しかし、そこは好打者・渡辺、タイミングをズラされても左手一本で外野までライナーを運ぶ。
打球は左中間へ。
「オーライ!」
しかし、レフトの当山はほぼ左中間に守備位置をとっていた。普通の守備位置なら完全にヒットコースだが、当山が悠々打球に追いつき、渡辺の連続安打がストップする。
(右打者の時はレフトは左中間、センターは右中間、ライトは塁線に寄るべし。引っ張って三塁線を破る事はそうそうないし、例え三塁線を破られてもよっぽどの事が無いと三塁打にはならんけんな。逆にライト線、右中間、左中間は破られるとだいたい三塁までいかれる。リスクを防ぐには、外野はこのポジショニングが合理的なんや。)
南学ベンチでは、神谷監督が高笑い。
初回にも、このポジショニングのおかげで渡辺のライト線付近の当たりをシングルヒットに抑えていた。
カーン!
「あぁやってもうたー!」
2番の枡田は遅球に対して前のめりに突っ込み、フラフラとフライを打ち上げる。
今度はレフト線。広く空いているはずのレフト線だ。
(また来たわ!)
しかし、レフトを守っているのは南学野手陣で最も足の速い当山。そして左投げなので、レフト線の打球にはグラブを持った右手がよく伸びる。
ポテンヒットになろうかと言う当たりをしっかりランニングキャッチで掴み取り、ツーアウトになる。
キーン!
「……チッ」
3番の越戸は引っ掛けてセカンドゴロ。
3回の表の三龍の攻撃はたった7球、リリーフ翁長の前に三人で終わってしまった。
(……やはり、リードしてはいるが、流れは微妙だな……あちらの攻撃の方が長く感じられる……)
三龍ベンチで、浅海が表情を険しくする。
南学ベンチで笑顔を見せる神谷監督の髭面が、今はとても癪に触った。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
コキン!
「ファースト!」
9番の諸見里が送りバントを決め、二死二塁。
南学は四球で得たランナーを二塁に進め、リリーフの翁長が作った流れをキッチリ掴んだ。
(送りバント、ツーストライクまではセーフティの構えでしてきたな。それで追い込まれてもスリーバントをキッチリ決めてくるか。やっぱりこいつら、美濃部の球数増やそうとしてきてるな。)
浅海が感じている“嫌な感じ”は、捕手の宮園も感じ始めていた。低めのスライダーに手を出さない事にも、ファールが多い事にも気づいていた。
ファールが殆ど逆方向に飛んでいる事から、ファールは狙って打っていることが分かる。
(ファウルで粘ってるだけで、まだヒットにはされてないけど…この回ももう20球だ。そして
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