第八話 土の忍者その四
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「私達のことが」
「今わかっていることは」
裕香がここで言った。
「三人共孤児ってことよね」
「ああ、それだけだよ」
薊も裕香に応えて言う。
「本当にさ」
「それだけだから」
「三人共孤児っていうのも凄いことだけれどな」
「そこに何かあるかも」
「いや、それはどうだろうな」
薊は裕香の今の言葉には首を捻って自分の言葉を返した。
「孤児っていっても生まれた場所とか親とか全然わかってないんだよ」
「だから三人のつながりも」
「孤児っていってもな」
「わからないのね」
「親が同じなんてまずないだろ」
「そうよね、言われてみれば」
「あたしは横須賀にいたんだぜ」
薊は自分のことから話した。
「菖蒲ちゃんは神戸だよな」
「生まれはわからないわ」
菖蒲が薊にこう答えた。
「神戸で育ってるけれどね」
「私は伊賀の棟梁さんに預けられるまでは一切わかってないわ」
菊も言ってきた。
「何一つとしてね」
「だよな、三人共な」
「そうしたことは」
「まず接点はないわよ」
菊はあらためて裕香に言った。
「どう考えてもね」
「そうなのね」
「若しあったら」
一応その可能性についても考える菊だった、だがそれでもだった。
「その方が凄いでしょ」
「ううん、言われてみれば」
「そう、共通点は孤児ってあることだけよ」
力を持っていることとだ。
「それだけだから」
「じゃあ三人のことは」
「本当に謎よ」
謎しかないというのだ。
「私にしてもね」
「あたしもね」
「私も」
薊と菖蒲も言う。
「何もわかってないんだよな」
「まさにね」
「その謎をどう解いていくか」
ここで智和も言ってきた。
「それをどうしていくかだからね」
「そうなんですね」
「謎は前にあっても絶望するものじゃないよ」
「ではどういうものですか?」
「解けない謎はないから」
だからだとだ、智和は裕香に話す。
「謎には向かってね」
「そのうえで解くものなんですね」
「そうだよ、前向きであるべきなんだ」
「そうなんですね」
「そういうことだよ。とにかく君達三人のことはね」
智和は今度は三人に顔を向けて話した。
「身体検査で調べてみよう」
「ああ、じゃあな」
「宜しくお願いします」
「さて、その身体検査は」
その時はというのだった。
「今度の日曜でいいかな」
「その時にですね」
「うん、三人共受けてくれるね」
菊、そして二人にも話した。
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