第一物語・後半-日来独立編-
第七十二章 竜神《4》
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に着地する。
正常な状態に戻るまで数秒。
急な光による目眩ましに、爆音による身体の震えが止まるまでの時間だ。
後ろに束ねた一本の髪の乱れを直しつつ、自分が放った蝿が一匹たりとも存在していないのを見た。
身に付けている衣服は何処か焦げ臭く、爆発が起きたのだと理解した。
「竜口砲|《ドラゴンブレス》を放つのではなく圧縮して爆発させたのか。なんという荒業だ」
爆風によって飛ばされ数十メートル。
目の先に見える竜神を覆う煙が剥がれていき、次第に姿を見せる竜神。
荒業ゆえの反動か。顔を覆っていた甲殻が幾つか剥がれていたり、ひびが入っているものがある。口の部分が一番損傷しており、閉じていても牙という歯が所々見えている。
周囲を見渡せば日来の長の姿は見えず、央信の元に向かっていた清継は爆風によってか、勢いを付け過ぎて目的の場所よりも大きく逸れた戦闘艦に叩き付けられていた。
甲板上に倒れ込む清継には吐血した後が見られた。
流魔の残光が見えるため、緩和系術を発動した後が見受けられる。だが速度を殺し切れなかったのだ。
この状況では自分が動かなければならない。
映画面|《モニター》を表示し、各戦闘艦へと繋ぎ指示を送った。
「砲撃を叩き込め! 残量が無く、砲撃が行えない場合のみ全乗員の避難を終えてからの竜神への特攻を許す!」
『『――了解!!』』
傷付いた竜神が煙のなかから姿を現した直後。
竜神を囲むようにして陣取っていた黄森の戦闘艦から一斉に、砲撃の雨を浴びた。
爆音は先程以上のもので、やけくそな砲撃とも取れる。
地上から事態を見上げる者達は、いまだに事態の理解も出来ぬまま戦いの行方を見守っていた。
辰ノ大花からの援護は無く、黄森の戦闘艦のみが行動を行っていた。
『目を覚ませ……我が宿り主……』
声がした後にゆっくりと目を開けたセーラン。
彼を包む繭状の盾は、次第に形を崩して無くなっていく。
落下の軌道を感じ取って、
「クッションのような柔らかい足場をイメージ」
想像による具現化。
憂いの葬爪の能力を用い、現れた長方形の立方体にセーランは受け止められた。
弾力のあるものに包まれた後、新たに足場を表示し、着地するセーランが耳にする連続する砲撃の音。
「竜神に砲撃を浴びせてるのか。さっきの爆発は竜神が起こしたんでいいんだよな」
『無駄なことを考えているからこうなるのだ……馬鹿者が……』
耳ではなく、感覚的に直接脳から聞こえる傀神の声。
何処を見て話したらいいのか分からなくて、結局は竜神を見ていることにした。
「流魔の吸収高める方法、何かないのか。このままじゃ埒が明かねえ」
『簡単なことだ……。憂いの葬爪は流魔の操作及び使用者の想像を具現化させる……。他にも幾つかの能力
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