第一物語・後半-日来独立編-
第七十二章 竜神《4》
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早く長を引き離せ! ――抑えられねえ!!」
感じ取ったセーランは黄森勢に向かって叫んだ。
言葉のまんまの意味で、長く竜神の動きを止めることが出来無いということだ。
行く清継。
自身の最大限の速度で突き進み、落下の速度に加え、加速系術を発動し自身の体重で速度を上げ続ける。
風を切る音が聴こえてきそうな程の速度に達しているも、安心は何処からも来はしなかった。
それもそうだ。
「こんな状態で竜口砲|《ドラゴンブレス》だ!?」
竜神の口のなかが青い光を放つ。
流魔が集結している証拠であり、竜口砲を放つ際の動作である全身の震えをセーランは感じ取った。
央信と竜神の距離は離れている。だが竜口砲ならば楽に届く距離だ。
杭が身体を貫いているのに、関係無く竜神は準備を終えた。
口径を広く、確実に央信を仕留めるために口を開く。
口から漏れる流魔は高濃度直前までに達し、熱を帯びた身体にセーランの肌が炙られる。
吸収を高めることで竜口砲の威力を弱めることは出来る。引き換えに竜口砲を止めることは出来無い。
清継が急ぎ向かっているが、間に合わないと感覚で感じた。当然本人も、背後に感じる異常な流魔
の量に不吉な汗をかく。
「――させぬ!」
竜口砲を放つために標準を定める不動の竜神に、セーランの言葉から数秒遅れて繁真が竜神に向かって妖刀・蛆虫による黒い蝿を放った。
蝿は数百単位にまで及び、黒くうごめくものが竜神へと飛翔した。
この蝿の攻撃を食らうと、食らった箇所には穴が開く。その穴に蝿は卵を産み落とし、卵から孵化した蛆が攻撃を食らった対象を貪り、蝿へと成長する。そして再び攻撃を行う。
無限に続く連鎖に比例し、次第に蝿の数も増えていく。
幾ら巨体な竜神であっても、数百単位から始まる攻撃に微動だしないわけがない。
狙いは竜神の顔。
セーランがいるがそれに構っている暇は無く、それを理解出来無いセーランではなかった。
奏鳴の内部流魔の吸収率はまだ半分も行っていない。暴走し掛けている奏鳴にとって一滴の水に等しい。だが仕方が無い。
思い、竜神から離れようとした瞬間だ。
『馬鹿者……!』
傀神の声が脳内で響いた。
歯と歯と噛み合わせる音が聴こえ、音よりも先に光が空間に放たれた。
時が止まったかのような錯覚にセーランは陥り、覚ますように次に鼓膜を突き破る程の爆音が響いた。
熱い。
感じるセーランの周りを流魔が包み込み、硬化、繭状の盾を産み出した。
地上を走るある甲殻系魔人族は爆音に耳を傾け、一度止まった後に再び速度を上げて走り出した。
●
爆発による風を受け、宙に投げ飛ばされる繁真は緩和系術を使って速度を落とし、幾つもの足場を正方形に表示し、どうにか大きめに造られた足場
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