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バスケ
第六章

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第六章

「この国もバスケの国にするぜ」
「そうか。じゃあこのことはな」
「報道しようか」
「派手にしないでくれって言っても無理だよな」
 それはクローバーにもわかることだった。彼が元スター選手であり突然の謎の引退と失踪もだ。報道されれば派手にならない筈がないことはだ。容易に想像できることだった。
 だがそれがわかったうえでだ。彼は言った。
「してくれてもいいぜ」
「そう言ってくれるんだな」
「報道していいんだな」
「ここまで来てくれたしな」
 まずは二人のその熱意を買ったのだ。
「それにな。最初はここで密かにって思ったけれどな」
「そうして徐々にか」
「広めるつもりだったんだな」
「そうさ。まあ考えてみればそのうちわかることだったんだ」
 オーストラリアでバスケを普及させればそれを広めている彼のことも必然的に知られていく。考えてみればだ。これも当然のことだった。
 そこまで考えてだ。彼は話すのだった。
「それならな」
「ああ、報道させてもらうぜ」
「アメリカでな」
「流石にここまで来ることもないだろうしな」
 オーストラリアの端まではというのだ。
「あんた達みたいにな」
「遠かったぜ。かなりな」
「ロスからここまではな」
 二人はここでは苦笑いで話した。
「いや。オーストラリアっていっても遠いな」
「飛行機でも相当だったぜ」
「時間も金もかかるよな」
 また笑顔で話すクローバーだった。そのこともあってだというのだ。
「それじゃあな」
「時間と金は大きいよな」
「その二つが一番の守りか」
「ここにアメリカ人がどかって来ることはないさ」
 クローバーはアメリカにそれに負けない見事なコート、彼が作ったそのコートを見ながらだ。そのうえで二人に話をするのだった。
「ならいいさ」
「じゃあ報道するからな」
「記事にさせてもらうぜ」
「そうしてくれよ。それでな」
 このことを許してからだった。
 クローバーはだ。今度は二人にこんなことを告げた。
「今度報道される時はな」
「ああ、オーストラリアがバスケ大国になってるか」
「アメリカみたいにか」
「ああ、なってるぜ」
 白い歯は健在だった。ここでもだ。

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