第三章 始祖の祈祷書
第七話 侵攻
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…
アンリエッタはその身体に、本縫いが終わったばかりの眩いウェディングドレスを身に纏っている
本来の予定では馬車に乗り込み、ゲルマニアへと向かう予定であったが、予想外の出来事にその予定を取り消し、突如開かれた会議が開かれそれに出席することになったのであった。
「全面戦争になる前に、何とかしなければ」
「だがこちらの話をアルビオンが聞いてくれるか」
明らかに侵略ではないですかっ!!
紛糾する会議は国賓歓迎のため、ラ・ロシェール上空に停泊していた艦隊全滅の報と、ほぼ同時にアルビオン政府から宣戦布告文が急使によって届けられたことにより開かれた。
会議の内容としては、どうやってアルビオンの誤解を解くかということであり、迫り来るアルビオンの艦隊をどうするかについては何も話されていない。
アンリエッタは紛糾するだけで何も決まらない会議に苛立ちを募らせていると、伝書フクロウによってもたらされた書簡を手にした伝令が、息せききって会議室に飛び込んできた。
「急報です! アルビオン艦隊は降下して、占領行動に移りました!」
「場所は!」
「ラ・ロシェールの近郊!タルブの草原です!」
「お姉ちゃん……」
「大丈夫、大丈夫よ」
空から何隻もの船が燃え落ち森の中に消えている光景を見つめながら、シエスタは震えながら兄弟を抱きしめていた。
一体何が起きているの?
つい先ほどまではいつも通りであったのだ。外で遊んでいる弟達を呼ぼうと外に出てみると、突然ラ・ロシェールがある方角から爆発音が聞こえてきたのだ。
村の住人が爆発音に気付き外に出始めてしばらくすると、空から巨大な船が降りてきた。山が飛んでいると見まごうばかりの巨大なその船は、村人たちが震えて見守る中、草原に錨を下ろしてタルブの草原に停泊した。
巨大な船からは次々とドラゴンが飛び上がっている。
「僕たちどうなるのお姉ちゃん……」
幼い弟や妹たちが不安そうにシエスタを見上げている。そんな弟たちにシエスタはこわばった笑顔で笑いかける。
「大丈夫よ……さあ、家に入りましょう」
シエスタは恐怖で叫びだしたくなるのをぐっと堪えると、弟たちを促して家の中に入った。シエスタが家の中に入ると、中ではシエスタの両親が不安げな表情を浮かべながら、食料や服等を袋に入れていた。
「お父さん何しているの?」
「シエスタか、お前も手伝いなさい」
シエスタがそんな父に声を掛けると、父は焦燥が混じった顔をシエスタに向けると手に持った袋を一つ投げよこす。
「な、何で……?」
「戦争かもしれない、入れられるだけ入れたらすぐにここから離れろ」
「そんな……一体どこが」
父は忙しなく動か
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