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剣の丘に花は咲く 
第三章 始祖の祈祷書
第七話 侵攻
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「なっ、何なんだこれはっ!  す、凄い、何が何だが分からないがとにかく凄いぞこれはっ!」

 コルベールは魔法学院の広場にドラゴンに吊られて現れたものに駆け寄ると、その周りを犬の様にぐるぐると駆け回りながら凄い凄いと言って興奮している。全体を濃緑に塗りつぶされているそれは、明らかに人の手によって作られているにも係わらず、どうやって作られたのか全く想像もつかず、コルベールの知的好奇心を刺激したのであった。
 そんなコルベールの様子に苦笑いを浮かべた士郎が近寄ずくと、士郎に気が付いたコルベールが、好奇心に目を輝かせながら士郎に詰め寄っていく。

「し、シロウ君っ!  い、一体これは何なんだねっ! き、君なら知っているだろう! わ、私に教えてくれないかっ!」
「え、ええ、分かっています。それで少しばかりお願いがあるんですが」
「お願い?」

 訝しげな顔をするコルベールに、後ろでにこにこと笑って待っている竜騎士隊をチラリと横目で確認すると、士郎は頭をかきながらバツが悪そうにコルベールに頭を下げる。

「実は今持ち合わせがなく。その竜騎士隊に払う代金が」
「ん? ああ! そういうことですか。分かりました、私が立て替えておきますよ」

 士郎の言葉にコルベールは快く頷くと、料金の交渉をするために竜騎士隊に向かって歩き出していった。


 試験管や薬品の瓶等様々なものが雑然と広がるコルベールの研究室の中、士郎とコルベールは向かい合って座っている。

「ほう、“ひこうき”と言うのかねあれは。う〜む、まさかあれが空を飛べるとは、にわかには信じられないんが、君がそんな嘘をつくはずが無いからね」
「ありがとうございます。それでこれが“飛行機”を飛ばすための燃料です」

 腕を組んでうんうん唸っているコルベールに、士郎はゼロ戦の燃料タンクに微かに残っていたガソリンを入れた壷を手渡した。

「燃料? ふむ……嗅いだ事がない臭いだが、何も手を加えずともこんな臭いがするとは、随分と気化しやすいもののようだね」
「ええ、ですから気を付けてください。それぐらいの量でも火が付けばかなり危険ですから、扱う時は窓を開けて換気に気を付けてください」

 士郎からガソリンが入った瓶を受け取ったコルベールは、まるで犬の様に瓶の中をくんくんと嗅ぎ始めると、時折机の上に在る羊皮紙に何かをメモしている。それを見た士郎は、苦笑しながらも部屋の窓を開け放ち、埃ともカビともつかない、妙に鼻につく異臭が漂う部屋にガソリンの臭いが混じり、さらに混沌とした空気になっていく部屋に新鮮な空気を送りこんだ。 
 そんな士郎の行動に目を向けず、コルベールはガソリンの入った瓶を揺らしたり掲げたりしては、羊皮紙にメモを取り続けている。

「それで、シロウ君。これと同じもの
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