それでも夜を越え、朝が来る。誰しもが生きるために
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
けで殺人者となりえるのだから。
「おい!!」
「なんだ、冥星……エリザはmyuを使った。エリザの保護者はいないが、必然的に私になるだろう。私はこの子の行為を見逃すことはできない」
「そんなことはどうでもいい。さっさとスプーンを取り替えろ、エリザ」
「え? え?」
冥星は、明子とエリザの前に割って入るように台所へ乱入した。ここまでくれば自分で取りに行けよ、という誰しもが思う疑問を、冥星は感じない。奴隷を手に入れた冥星は無敵だ。もうすべての面倒事をエリザに押し付けることができる、ということに気が付いたのだ。
自分の手となり足とのなる存在を見つけた冥星は、エリザは他の事に時間を摂られるなど、我慢できない。
「お前は俺の言うことだけ聞いていればいい。他のことは気にするな」
「……あの、でも……私、Myu 使いました。Myu を使うことは悪いこと……なのです。だから、私はバ、罰を受けます」
「バカかお前はブス」
「ぐすっ…………わ、私は、きっと、バカですます……」
「おらぁ!」
「きゃう! な、な、な!?」
エリザのおどおどした表情が気に入らなかったのか、冥星はエリザの髪をひっぱりながら乱暴に振り回した。思い切り引っ張られたエリザはなぜこんな暴力振るわれているのか理解できない。涙目になりながら必死に冥星の横暴に耐える。
「め、冥星さま! ご、ごめんなさい! ごめんなさいごめんなさい!」
「黙れ。許さん、さぁ存分に怒るがいい」
「ぐすっ……い、痛い、おお願いです、お許しください……お許しください」
冥星はエリザを怒らせたい。怒らせて、もう一度myuを使わせてやりたい。そうすれば吹っ切れてどうでもよくなるだろうと判断したのだ。
明子のやり方はわかっていた。最初に脅しをかけ、そのあとに優しい言葉をかける。そうすると人は従わざるを得なくなる。心理学を利用した極めて単純な洗脳のやり方だ。
「……お前、なんで笑っているんだ? 怒れよ、ほら」
「え、えへへ…………ま、前の人はこうすると許してくれました……」
「バカかお前は」
「……ごめ……申し訳ありません、冥星さま……」
「黙れ、なぜ謝る? お前は謝罪に理由がわかっているのか?」
「…………も、もうしわけ」
「殺されたいのか、お前は?」
「冥星、もうやめろ。お前らしくないぞ?」
今度は明子が二人の間に入ってきた。冥星がエリザに殺気を放ったからだ。その証拠にエリザは頭を抱えてしまい、冥星を見ることすらできなくなってしまった。
冥星は、自分が強者だとわかっている。多少歪んだ性格に育ったことは保護者として遺憾ともし難い事実だが、決して冷静さを失うようなことはなかった。
それが、まるで『小学五年生』にふさわしい怒りを見せていることに明子は
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ