どうしようもない主人公だな
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をかけたが残念ながらシカトされてしまった。言いたいことを言うだけ言って帰ってしまった。なんて薄情な奴なのか。友情など所詮は儚いものだ。
「さっさと終わらせて帰ろうぜ」
こんな時、隼人はいつもどおりだった。のんきにデッキブラシを振り回し、綺麗にしているはずなのになぜか汚くなってしまう困ったちゃんの隼人は冥星がやりかけた仕事を黙々と手伝う。
「難しく考えすぎなんだよなぁあいつは」
「そうだな」
「でもエリザが冥星を好きになるってのは、ぶふっ! ないない」
「なお、雛人形に先ほどの会話を」
「とにかく! 大人になれってことだな、冥星!」
都合のいいことしか耳に入れない男はバシバシと冥星の二の腕を叩きながら笑った。
もちろんこのあとボイスレコーダーを姫に渡して帰ったが、それよりも気になることがあった。
非常に、不本意だが、冥星は真っ直ぐにとある場所へと足を運ぶのだった。
「このままだと、エリザさんは確実の兄貴に捨てられます」
「…………イイ、ワタシ、ステラレタ、ドウゼン」
「生きるのが、苦しいですか?」
エリザは保健室で嗚咽を漏らしていた。背中を支えているのは海星だ。昨日いきなり兄が拾ってきた大きすぎる収穫物を見たときは驚いた。
帰ってくるなりエリザを放り投げ眠ってしまったくそ兄貴は後のことは任せるといわんばかりに明子と海星を振り回してくれた。
その一方で、兄が何を考えているのか悔しいが手に取るようにわかった。
だから、思い通りになどさせるわけにはいかない。
無責任なことはさせない。拾ってきたペットは最後まで面倒見る。当然のことだ。
「エリザさん。どんな理由があれ、生きることをあきらめてはいけません。私と兄も家族を失いました。だけどなんとか生きています。生きていれば必ずいいことがあります。せっかくのチャンスじゃないですか。ここであきらめてしまってはそれこそ両親が悲しみます」
「デモ、メイセイサマーコワイ、デス」
「あんな屑、怖がることありません。大丈夫です、まずは私の言うとおりに日本語を覚えてください。毎日一時間放課後に保健室で勉強しましょう」
エリザは初めて少し笑った。悔しいが超絶的に可愛い。自分には決して真似できない純真無垢な笑顔だ。
皮肉なことを考えている自分が下等生物のように見えて、海星は僅かに鼻白む。
どうせ、兄はこの人を捨てる。なら、兄が後悔するように仕向けるのだ。
兄は永遠に孤独の中に彷徨う亡者なのだから。
「いいですか。まずはですね――――」
「…………ハイ」
海星の思惑とは裏腹に日本語のレッスンが始まる。不思議とエリザはその講義を真面目に受けている。
結局、生きる希望を見失っていないのだ。口ではなんだかんだと言
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