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Myu 日常編
どうしようもない主人公だな
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じゃないかい?」
「なんだ達也? お前もあのブスを庇うのか?」
「いや……冥星、エリザはきっと怯えているだけだよ」
「そうだな、俺を見るとガタガタ震えて立ち上がれないからな」
「だったら」
「だからこそだ、達也」
「え?」

 やはり、と達也はある予感が的中していることに心の中で舌打ちをした。
 冥星は、賢い。特に人の心を根本的に理解している。どれほどの経験をすればここまで他人を見抜く力が得られるのか本人に問いただしたいが、今はそれどころではない。
 このままだと、エリザは確実に捨てられる。
 冥星ならやる、と達也は確信した。

「ブスは、ブスのくせに性格までブスだ。世の中のブス共はあいつをブスっとしていて気に入らないだろう。俺もブスは嫌いだからあいつが気に入らない」
「嫌いだから、売り払うの?」
「逆だ。あのブスは俺にかつてないほどの嫌悪感を与えてくれた。手元に置いておけば毎日いじめてやることができる。いいストレスの発散だ。実用性がある」
「……意味がわからないよ、冥星」
「俺の予想だがな。あのブスは間違いなくこのあと、俺のことが好きになる」
「…………はぁ??」

 真面目な顔でデッキブラシを掲げながら冥星は言った。エリザはこのまま冥星の言うことを聞いていればいつか冥星のことが好きになってしまうらしい。なぜ? 今までの会話でなぜそうなってしまったのか達也は考える。わからない。
 冥星という男をまたもや見失ってしまった。

「……いい、ことなんじゃない、かな? それは?」
「何がいいものか、達也、バカかお前は。それじゃあ何の意味もない。嫌がっているからこそいじめがいがあるんだぞ。嬉しそうにしていたら何の意味もないじゃないか」
「つまり、真面目に話す気はないってこと、冥星?」

 やっと達也は自分がからかわれていることに気が付いた。それと同時に怒りが込み上げてくる。なんて無責任な男なのか。拾ってきただの、捨てるだの。まるで人を物みたいに扱うのだ。何様のつもりだ。

「冥星、君は確かに賢い奴なのかもしれない。自分の思い通りに物事を動かす力が君にはあるのも確かだ。でもね、あまり舐めない方がいい、君はあまりにも見下している。世の中を、俺たちを」
「何を怒っているのか知らないが、俺は真面目に話したつもりだ。理解できないのは仕方がない。お前と俺では考えた方も物の見方も違う。だが、あのブスは俺が拾ったものだ。お前にとやかく言われる筋合いはない」
「そう、かい。ごめん、冥星、俺には理解できないよ。でも信じているよ、冥星がそんなやつじゃないって。信じさせてほしい」

 達也はそう言うと自分のランドセルを拾ってそのまま帰ってしまった。その背中をじっと見つめたまま冥星は一言だけ、

「手伝えよ」

 と声
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