どうしようもない主人公だな
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あああああああああああああああああああ!!」
「冥星! デッキブラシ投げんなよ! きたねぇだろ!」
「珍しく取り乱しているね。どうしたのかな?」
冥星は納得がいかない。エリザを奴隷と罵った罰として(ついでに泣かせたことも)体育館便所の掃除に駆り出された。自分はエリザを救った英雄として称えられてもいいはずなのに、どうしてなのか。永遠にこびりついた汚れに八つ当たりをして考えるが一向にまとまらない。
そんな冥星を呆れながら男二人は見つめていた。
「ブスのくせに、奴隷のくせに……、あそうだあとで首輪を買ってきてはめよう。ワンと言わせてやる。いや、そのまえに料理だ。料理のできない奴隷など屑にも等しいからな」
「……ったく冥星のやつほんとはエリザが可愛いから意地悪してるんだぜ? しょうがねぇやつだな!」
「そう、なのかな? そうだったら別にいいんだけどね」
「いや、絶対そうだろ? エリザめちゃくちゃ可愛いじゃねぇか」
「うん、クラスで一気に一番になっちゃったね」
エリザは編入して早々、クラスの男子から求愛の眼差しで、女子からは嫉妬と羨望の眼差しで見られるようになった。しかし彼女には常に冥星の奴隷と言う衝撃的な二つ名が課せられている。いい意味でも悪い意味でも他者を寄せ付けない。
「……このままだと、冥星はエリザを捨てるんじゃないかな」
「へ? なんで? あんなに可愛いなのに?」
「……姫ちゃんに怒られても知らないよ? なんとなく、そう思っただけ。冥星が嫌いそうなタイプだから、さ」
「……ああ、あいつ容赦ねぇもんな。吉野のこと、覚えているか?」
「……うん。でもあんなことがあったから、隼人は冥星と友達になれたんだろ?」
「バカ、ちげぇよ。仕方なく付き合ってんだよ。冥星は俺がいねぇと一人ぼっちだからな」
「隼人も素直じゃないなぁ」
「だぁ〜! 俺のことはいい! とにかく、冥星はもうちょっと女の子に優しくなるべきだと思うんだ、うん」
「……そうだね」
優しすぎる、と達也はつぶやいた。達也は冥星と友達になってから日が浅い。だが、彼がどういった人物なのかは彼が編入してから幾度となく噂で聞いたことがある。
そのどれもが根も葉もない噂なのだと付き合い始めてから気づいた。
学級崩壊寸前だった五年三組を別の形で崩壊させた男。
どんな男なのかと見ていたが、至って普通の、ちょっと頭のおかしい少年だった。
でも、達也は冥星が好きだ。
なんとなく、だが、冥星といると落ち着くのだ。まるで父親に守られているような安心感を得ることもある。おそらく隼人も同じことを思っているに違いない。でないと自分が変態的な人格の持ち主だと疑われかねない。
「やっぱりさっさとうっぱらうしかないか」
「――――それはちょっと早いん
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