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リメイク版FF3・短編集
雨濡れの日、君のを貸して
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まで連れ込んどいて、そりゃないだろー? いいよ、ここで着替えるっ」

「何を云っている、着替える物は自分の部屋に─────」

「い〜から向こう向いてろって! カゼ引かせるつもりかよっ」

「いや………なら私が出てゆく」

「ちょ、待てって……! すぐ終わるからさっ」

 ────こんな事なら、勢いで部屋に連れ込むんじゃなかったか。
一応、後ろを向いておく事にしたが────


「じゃ〜ん! おまえの寝巻きのやつ借りたっ。やっぱちょっとデカいな〜?」

 何を、勝手な………? 思わず振り向くと、襟の部分が大きくずれて華奢な片方の肩が露出している。

下は短いスカートのようだ。髪を下ろしているせいか、無邪気な少女のようにも見える。
────おかしな話だ。

「じ……、じろじろ見るなっつってんだろ! その顔で……!」

「"その顔"と云われても、鏡などで見ない限り自分の顔はよく判らないものだ。姫様からもよく見つめられたものだが────私の顔に、"何"かあるのか?」

「自覚ないのかよ……。ヤバイんだよ、その顔! アブないんだっつーのっ」

 何て云われようだ。姫様にも、実はそのように思われていたのか………?

「す……、すまん。そんなに"危険"なのか、私は─────」

「……はははっ、何謝ってんだ! これでもホメてんだぞ?」

 ど、どこがだ。

「キレイすぎんだって、顔。姫さんがおまえに入れ込むのも、今なら分かるよ」

「綺麗……? それは主に、女性に対して使うものだろう」

「そんなことないんじゃね? おまえ一度じっくり鏡で自分の顔見てみろよ!……つーか、"ナルシスト"になっちまいそうだなっ!」

 こいつはまた、訳の判らない事を。

「そういうお前こそ、どうなんだ。その男子らしからぬ顔────」

 つい、思っている事が口を滑った。

「へっ、なに? おまえから見ておれの顔、どうなんだよ」

「中性的、というか……。お前が黙ってさえいれば、ぱっと見た感じでは男か女か判りづらい、気がする」

 ────私は一体、何を云ってるんだ。

「へ〜え、おれってそんな風に見えんだ……? けどそんなこと云ったら、アルクゥだってそれっぽくね? レフィアなんて、鍛冶見習いやってるとっからして逆に男勝りだよなぁ!」

「まぁ、そうだな……。だが"今の"お前は特に─────」

「かわいいですか〜っ?」

 不意に腰の後ろで両手を組み、こちらを覗き込むように不敵な笑みを浮かべ、上目遣いしてくる。


「 ────かわいくない」

「へっへ〜、ムリしちゃって。……んじゃおれ、自分の部屋戻るな!」

「おい……、人の寝巻きを着たまま行くな」


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