暁 〜小説投稿サイト〜
少年少女の戦極時代U
オリジナル/ユグドラシル内紛編
第54話 いなくなればいい
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出てなかったしなあ。オーバーロードは完璧プロフェッサー直轄になったぽい。

 主任、窓際?

 主任派につくと事態から置いてけぼりっぽくて焦る〜って友達言ってた。

 あ〜。実質プロジェクトアーク押しつけられて終わりっぽいしね。

 けど妹か人類かって究極の選択だろ。

 あ。あとさ、被験者3の小学生いたろ。主任の妹さん、あの子と同級生なんだって。あくまで噂だけどさ、あの子、プロフェッサーに脅されたって。

 うえ、マジ?

 マジマジ。



 へたん。碧沙はその場に座り込んだ。研究員の談笑が遠のいて行く。

(わたしのせいで、兄さんと咲がオーバーロードインベスにかかわれない……わたしのせいで、貴兄さんのキボウが、つぶれそうに、なってる?)

 凌馬に触診された時よりずっとショックを受けている自分がいる。
 どうすればいい? どうすればいい? どうすればいい?

「…し……なんか…」

 貴虎の希望が、咲の希望が、――人類の希望が、呉島碧沙がこんな身の上であるばかりに潰える。

(わたしなんか、いなくなったらいいのに)

 はっとした。そうだ。楔となっている碧沙がいなければ、貴虎も咲もオーバーロードを探せる。全人類を救う手立てが見つけられる。

 碧沙は廊下の上を見上げた。監視カメラはある。だが、カメラに映ったとして、人が駆けつけるまではタイムラグがあるはずだ。

 碧沙は立ち上がり、元来た通路を歩き出した。


 ――“だからヘキサも、あたしたちのだれかが大変だったら助けてね”――


 リフレインした親友の声は、碧沙の背中を大きく押した。

(うん。助けるわ。待ってて。咲)
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