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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
剣使の帝篇
17.天使の帰還
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とわざがある。
意味としては、次々と災難が襲いかかってくるという意味だ。
「なんでこうなるんだ……」
緒河彩斗は自分の運の無さを恨むしかなかった。
『一難去ってまた一難』──昔の人はとてもいい例えをすると心からこのとき彩斗は思ってしまった。
こんなことを思ったわけ、それはほんの二十分くらい前に遡るのだった。
放課後の職員室塔校舎の最上階に吸血鬼の少年は昨日に引き続き訪れていた。
「今日はなんのようなんだ、那月ちゃん?」
「教師をちゃん付けで呼ぶでない」
那月はいつものように彩斗の頭を叩こうとするが、今回はそれを回避する。
「それで今日はなんなんだ?」
はぁ、と短いため息を吐いて那月は藍色の髪のメイド服の
人工生命体
(
ホムンクルス
)
の少女に目配せする。
アスタルテは、奥の部屋の扉を開く。
扉の向こうには、綺麗な銀色の髪、青い瞳の中等部の制服を着た少女。
「夏音……?」
「はい。お久しぶりでした、彩斗さん」
那月の用事が終わってから病院に駆けつけようと思っていたが、それよりも早く夏音の元気な姿が見れてほっとする。
「まさか、このために俺を?」
「まあ、半分はその用事だ」
「たまには、教師らしいこともするんだな、那月ちゃん」
「たまには、余計だ。あと教師をちゃん付けで呼ぶな!」
那月の攻撃を今度は避けることなくわざと受ける。
「なんだ。やけに素直に受けたな。よほど叶瀬夏音に会えたのが嬉しいのか?」
「ち、違ぇよ!」
「違うんですか?」
夏音が残念がるような声で彩斗に問いかける。
「い、いや、夏音が退院したのはものすごく嬉しいんだ。だけど、だけどな……」
言葉に詰まってあたふたしていると那月が改まったように言う。
「それでだ、緒河。お前に頼みたいことがあるんだ」
「頼みたいこと?」
那月の頬が微かに動いたのを彩斗は見逃さなかった。彩斗は、何か嫌な予感がするのだった。
「単刀直入に言う。お前の家で叶瀬夏音を引き取ってほしい」
「は……?」
言っている意味がわからなかった。
彩斗が理解できる範疇を唯に超えていた。
「も、もう一度おっしゃってもらえますか、南宮先生?」
「なんだ、急に敬語になって。いつもその調子で言えば私も叩いたりはしないぞ」
那月は満足したように口を開く。
「緒河彩斗。お前には叶瀬夏音を家で引き取ってもらう」
「なんでこうなるんだ……」
やっと理解できた状況に彩斗は思わず古城の口癖のような言葉が洩れた。
「なんだ、叶瀬がお前の家にいると何か不都合でもあるのか」
「いや、不都合はねぇけど、歳の近い男
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