第125話 鮮卑族
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いことだった。
「遊学の話は急な話のため即答できかねます。十分な協議の上、返答させていただきます」
揚羽は柯最に淡々と答えた。
「良い返事をいただけること期待しております。清河王、それでは宴席まで暫し休ませていただきます」
柯最は侍女に伴われながら謁見の間を後にした。彼女が完全に去ると同時に揚羽達は謁見の間の中央に進み正宗に向きなおる。
「鮮卑族をどうみる?」
最初に口火を切ったのは正宗だった。
「この時期に合わせて申し出てくるとは。表向きは人質、実態は我らの領内の視察といったところでしょう。あわよくば鮮卑族に利する知識や技術を得たいと考えていると思われます」
揚羽は自らの考えを忌憚なく言った。
「揚羽殿。しかし、この話を無碍に断ることは難しいです。麗羽殿の救出に成功したのは彼らの助力があってこそ。ここはのらりくらりと暫く交わしてはどうでしょう」
冥琳が発言した。揚羽も彼女の意見に同時するように頷く。
「兄上、私は条件を設けて鮮卑族の遊学の件を受け入れるべきと思います」
真悠は遊学の話を無視する流れに異を唱えた。彼女は鮮卑族との同盟をまとめあげた実績があり、鮮卑族のことを正宗達より一番知っているといえる。そのためか何か考えがあるのかもしれない。
「真悠、その根拠は何です」
揚羽は無表情で真悠の表情を窺い言った。
「鮮卑族は兄上との関係を強固なものにしたいと考えていることは確かです。彼らは人質でなく欲を言えば婚姻関係を持ちたいとも考えています。ですが、流石にそれは無理だと考え今回のことになったのだと思います。あわよくば知識と技術を得たいと考えているでしょうが、それは致し方ないことではありませんか?」
「真悠、やけに鮮卑族の肩を持つのですね?」
揚羽の表情は能面のような無機質になった。
「姉上。私をお疑いなのですか。先祖の名にかけて姉上が疑われるようなことは決してありません」
真悠は揚羽に対して慌てて弁明した。
「隠していることをいいなさい」
揚羽は冷徹な表情で感情の篭らない声で真悠に言った。真悠は彼女の雰囲気に気圧され話出した。
「鮮卑族との同盟をまとめる際に拓跋氏の者に協力を得ました」
「その者の名は?」
「拓跋力微の娘、拓跋沙漠。拓跋氏は鮮卑族の中では有力氏族です。彼女は漢人の文化に強く憧れていて我々に大しても興味を持っていました。お陰で彼女と仲良くなることが出来て同盟交渉の際にも私に協力してくれました。彼女は同盟交渉に協力することの条件に正宗様への願いを申し出てきました」
「その者の望みが我が領内への遊学というわけですか?」
「はい、姉上。拓跋沙漠は初め洛陽への遊学を希
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