暁 〜小説投稿サイト〜
打球は快音響かせて
高校2年
第三十九話 凡打の仕方
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〜〜ムカつくな〜〜)

良いように弄ばれたように感じられ、サード飾磨のイライラは更に募っていく。しかし、マウンド上の美濃部はこんな揺さぶりを意に介さない。

(普通に打ってもよう打たんけん、こんなキモい事ばっかしよんのやろ)

美濃部はどんどんストライクを投げ込んでいく。ボール球を見極められるのなら、ストライクゾーンで勝負すれば良い。そう割り切った。

ゴキッ!
「オーーライィ!!」

当山は5球目をボテボテのショートゴロ。
内野安打を防ぐ為に普段よりかなり浅く守っているショートの枡田が軽快にさばき、初回の南学の攻撃はゼロに終わる。

「よっしゃー!」
「全然バッティングさせてないぞ!」

三者凡退に三龍ベンチは湧き上がり、アルプススタンドが美濃部に歓声を送る。三振、サードフライ、ショートゴロ。南学の打者がマトモなスイングをした事は一度もなく、実力でキッチリねじ伏せたように思われた。

(いや……球数は初回だけで20球……確かに三者凡退だが、中々簡単にアウトにはなってくれてないぞ……)

しかしここでも、浅海の表情は晴れなかった。球数が多いのもさる事ながら、美濃部のボール球になるスライダーに、南学打線は一度も手を出さなかった。その事が浅海には引っかかる。理想的な三者凡退のはずなのに、何か相手に仕掛けられているように感じられる。相手ベンチの神谷監督の余裕っぷりが、更にその感覚を強くさせていた。

(確かに美濃部の球は走っているし、南学打線に迫力はない。……でも、こんな快調なピッチングが9回まで続くとは思えない。多分、迫力が無いなりの攻め方をしてくる。)

浅海は帽子を取り、前髪をさっとかきあげた。
ふぅー、と大きく息をつき、自軍ベンチの選手達を見る。

(そうやって攻め込まれた時に、どうするか。)

浅海は帽子をかぶり直し、視線をグランドに戻した。



ーーーーーーーーーーーーーーー



カーン!
「!!」
「ウソッ!?」
「マジかよ」

2回の表、三龍の攻撃。
二死から鳴り響いた快音に、三龍ベンチは味方ながら仰天した。

ポトッ

大きな放物線を描いた打球は軽々と市営球場のライトフェンスを越え、芝生に弾んだ。三龍アルプススタンドが、蜂の巣をつついたような大騒ぎになる。打った本人の美濃部はクールを装い、悠々とダイヤモンドを一周するが、その口元は微妙に緩んでいた。

8番美濃部の高校初ホームラン。
味方ですらも全く予想していなかった一発で、三龍は2点目のリードを奪った。これには打たれた安里もガックリと肩を落とす。

「イイね美濃部!」
「さすが三龍のエース!」

ベンチに戻ってきた美濃部を、他のナインが出迎える。初回に続き2回もあっさりと追加点をと
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